シャープ本体に最大2000億円 革新機構が出資検討

官民ファンドの産業革新機構が、経営再建中のシャープ本体への出資を検討していることが10日分かった。金額は1千億〜2千億円規模が想定される。一方、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業もシャープの液晶事業だけに出資する方向で協議に入った。シャープでは引き続き、両にらみの交渉を進める。

 革新機構は出資を通じて主力の液晶事業をてこ入れし、家電など他の事業部門の再編も進め効率化を図る考えとみられる。関係者によると、革新機構はシャープの事業価値を見極めるための査定作業に入った。

 一方、鴻海はシャープの液晶事業を傘下に置くことで、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の液晶パネルなどの生産を効率化したい考えだ。

 革新機構を所管する経済産業省には、シャープが持つ技術の海外流出を防ぎたい意向がある。液晶事業の再建では革新機構傘下のジャパンディスプレイ(JDI)と連携し、太陽電池やテレビなど不採算事業は整理を進めることになる。

 ただ、革新機構がシャープとJDIを傘下に持つと同一グループによる液晶市場でのシェアが高まり、中国など海外で独占禁止法に触れる懸念がある。また、産業育成を目的とする革新機構が、企業再生を手掛けることは批判を受ける可能性がある。シャープの液晶事業は中国市場の不振により、9月中間期は本業のもうけを示す営業損益が数百億円の赤字となる見通し。