TPP 野菜や魚の関税、最終的に全て撤廃

環太平洋パートナーシップ協定(TPP)で、野菜や魚は全ての関税が16年目までに撤廃されることが分かった。撤廃品目数は、農林水産物834品目の約半数に達する見通しで、日本政府が「聖域」として交渉してきたコメ、牛・豚肉、乳製品、麦、砂糖の重要5項目以外は、ほとんどの関税が即時撤廃か数年間で段階的に撤廃される。TPPの大筋合意以降、国内では詳しい説明を求める声が高まっており、農林水産省が各品目についての精査を進めている。

TPP交渉は元々、すべての品目の関税撤廃が原則とされてきた。このため、野菜ではホウレンソウやレタス、アスパラガス、ブロッコリー、キャベツなどにかかっている3%の関税がTPPの発効後すぐになくなる。タマネギは原則8.5%の関税が6年目に撤廃される。果物ではパイナップル缶詰などの一部の加工品を除いて、オレンジやサクランボなどの関税が段階的に下がり最終的にはゼロとなる。

 水産物では、魚の関税がすべて撤廃される。現状3.5%以上のカツオやベニザケ、ヒラメなどは即時撤廃となる。一方で、国内に漁業者が多いアジやサバについては16年目までの段階的な撤廃となる。また、重要5項目の中でも、牛タンやハム、ソーセージなどの一部加工品は段階的に撤廃される。

 関税が早期撤廃される野菜や魚については、元々の関税がそれほど高くない上に、TPP参加国からの輸入品と国産品が競合しているケースは少ない。このため、「生産者に与える影響は限定的」(交渉関係者)とする見方が多い。

 ただ、重要5項目以外の交渉状況についてはこれまでほとんど話題にならなかったこともあり、農業関係者を中心に不安が広がっている。政府は15日から全国各地で分野別の説明会を開催しているが、詳しい内容や影響についての質問が相次いでいる。農水省では現在、合意内容の確認を急いでおり、近く全品目の詳細について明らかにする方針だ。