東芝リストラ、経営トップが範を示す 再生策の第1弾で半導体に切り込む

東芝は28日、半導体事業の構造改革の具体策を発表した。照明に使う白色発光ダイオード(LED)と、スマートフォンに組み込まれ、画像処理を行う画像センサーの生産から撤退し、早期退職も募る。合わせて約260億円の固定費削減につなげ、半導体事業の中で赤字が続いていた2分野を2016年度に黒字化する目標。利益水増し問題からの再生に向け、最初の一歩を踏み出した格好だ。今後は家電やパソコンでも改革を進められるかが焦点になる。

白色LEDは「ディスクリート」と言われる単機能半導体の一種。白熱電球などからの置き換えで需要拡大が見込まれたため、東芝も強化してきたが、中国製などとの競争が激しく「価格下落が想定以上だった」(関係者)という。採算が悪化していたため、15年度末までに撤退して約100億円の固定費を削減する。ディスクリート分野では、高電圧を扱い、電力変換に使われるパワー半導体を中心に立て直す方針だ。

「システムLSI(大規模集積回路)」については、大分工場(大分市)の画像センサー製造ラインを売却することで、28日にソニーと基本合意した。売却額は200億円程度になる見通し。関係する従業員約1100人に関してはソニーに転籍させる方向だ。システムLSI分野では約160億円の固定費を削減する。

半導体事業では、2分野の赤字を稼ぎ頭の「フラッシュメモリー」の黒字の一部で相殺する構図だったが、“止血”が実現すれば収益の改善が期待される。再生策の第1弾として半導体に切り込んだのは、室町正志社長の出身母体であることが大きい。東芝はカンパニー制を敷くため、経営トップが範を示すことで各カンパニーの協力を得たい考えだ。

ただ、改革の“本丸”は前年度に1097億円の営業赤字を計上した家電・パソコン事業。従業員数は3月末で約2万4000人と大規模なだけに、改革を実施した場合の痛みも大きい。新体制の手腕が問われる。