薬の特許「同一成分でも用法違えば延長可能」 米社の抗がん剤、最高裁が初判断

成分が同じ抗がん剤について、用法・用量が異なるため改めて薬事法の承認手続きを受けた米大手製薬会社「ジェネンテック」が特許期間の延長を求めた訴訟の上告審判決で最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は「同一成分の薬でも用法・用量が一定程度違えば、特許の延長を認める場合がある」とする初判断を示した上で、国側の上告を棄却した。特許延長を認めなかった特許庁の審決を取り消した知財高裁判決が確定した。

 用法・用量が異なっても効果・効能が同じであればすべて「同一の薬」としてきた特許庁は、最高裁判決により延長を柔軟に認めるよう変更を迫られる。

 特許権の独占期間は出願日から20年だが、医薬品の場合、製造・販売承認まで時間がかかることも多く、承認に要した期間を考慮して最長5年の延長が特許法で認められている。同社が開発した抗がん剤は、平成19年に最初に承認を受けた後、用法・用量を変えて21年に承認を受け直していた。同社は21年の承認について延長を申請したが、特許庁は「同一の薬で延長は認められない」と退けた。

 知財高裁は「21年の承認によって別の治療方法が可能になった。用法・用量は薬事法上の承認の審査事項で重要だ」として延長を認めるべきだったと判断、特許庁の審決を退けた。