生物・化学テロの懸念強まる=「イスラム国」、兵器保有か―仏

パリ同時テロを受け、フランスで過激派組織「イスラム国」が新たに生物・化学兵器を使ったテロ攻撃を実行することへの懸念が強まっている。

仏政府は「リスク回避のため、あらゆる措置を講じている」(ルドリアン国防相)と強調するが、次々と不安材料も明らかになっている。

「イスラム国」は既に、シリアとイラクで化学兵器の一種であるマスタードガスを使用した疑いが濃厚だ。化学兵器開発に向け、科学者らを集めて研究や実験を進めているとの報道もある。

ベルギーのメディアは、過激派の温床といわれる首都ブリュッセル西部モレンベーク地区で20日に行われた家宅捜索で「化学物質が押収された」と伝えた。事実なら、欧州域外からテロ目的で持ち込まれたか、欧州で調達され化学兵器製造に使われる寸前だった可能性も浮上する。

一方、細菌やウイルスなどを用いる生物兵器については、残忍な攻撃手段もいとわない「イスラム国」でも扱いが難しいとされる。

英軍事専門家ポール・ビーバー氏は中東の衛星テレビ局アルアラビアに対し、「(兵器の元となる病原菌の)入手は簡単だが、テロリスト自身が死んだり被害を負ったりせずに(攻撃を)実行するのは難しい」と指摘。大気中や水道にまき散らすには高度な能力と技術が必要だとしながらも、「テロ組織が化学・生物汚染物質をどこかで放つことはあり得る」と警鐘を鳴らす。