台湾産サンマ、今年は半分 異常気象?保護議論に影響

サンマの資源保護が国際的な課題となる中、世界最大の漁獲量を誇る台湾の今年の水揚げが前年の半分以下の見通しとなったことが9日、分かった。台湾唯一のサンマ漁港、前鎮漁港(南部・高雄市)の幹部が明らかにした。異常気象などが背景とみられるが、台湾と競り合う日本のサンマ漁や、各国・地域がサンマなどの資源保護を話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の議論にも影響しそうだ。

 ◆世界最大の漁獲量

 前鎮漁港は台湾最大の遠洋漁港で、約600隻の登録漁船のうちサンマ漁船が107隻を占める。北太平洋で漁を終えた漁船が帰還して冷凍サンマを陸揚げする最盛期を迎えている。

 前鎮漁港の幹部は、これまでの水揚げ量が前年比の「20%程度」とした上で、「今年は5割あればよい方だ」と語った。形も小さく細いものが多く、6段階のサイズ別で上位2級は「少ない」という。

 日本の水揚げは2008年をピークに激減。一方で、台湾は13年に初めて日本を抜き、14年も各国・地域で最多となった。

 ◆「未成熟なまま乱獲」

 日本のサンマ漁船の主流が20トン級と200トン級なのに対し、台湾は990トン級。冷凍設備を備え、1隻当たり1千トン近くまで冷蔵できる。一部は漁期の途中に輸送船で水揚げするほか、中国や韓国、ロシアの漁港に寄港して直接、水揚げするため、正確な漁獲量の把握は難しいという。

 日本では、台湾や中国の漁船が北太平洋の公海で「未成熟なサンマを日本の漁場に入る前に乱獲している」(水産庁関係者)と指摘されている。

 今年9月には日本、台湾、中国、韓国、ロシア、カナダが出席してNPFCの初会合が東京で開かれ、サンマの資源量を維持できる漁獲量を17年中に算定することで合意。将来的には公海での漁獲枠の設定が議題に上るとみられる。

 台湾の行政院農業委員会漁業署(水産庁に相当)の幹部は初会合を受け、「漁獲枠は実績に基づくはずで、漁獲量が多い台湾にとっては有利になる」と話していたが、水揚げ量の大幅減で、こうした見通しも修正を迫られそうだ。