下取りのトラックが社名入りのまま武装勢力に 配管業者が訴訟

中古車販売店で下取りに出した業務用トラックが社名入りのまま武装勢力の手に渡り、その画像が広まったために嫌がらせの電話が殺到したとして、米テキサス州の配管業者が販売店側に損害賠償を求めている。

同州テキサスシティーで配管業を営むマーク・オーバーホルツァー氏は、「マーク1」という社名のついたトラックを業者がそのまま売りに出したため、経済的損失をこうむり会社の名誉が傷付けられたとして、今月9日に100万ドル(約1億2000万円)余りの賠償金を求める訴訟を起こした。

訴状によると、オーバーホルツァー氏は2013年10月、同州ヒューストン市内でフォード車を扱う自動車販売店で12年製のトラックを購入し、それまで乗っていたトラックを下取りに出した。

古いトラックのドアについていた社名をはがそうとしたところ、販売店員から「塗装が傷つく」と止められ、売りに出す前には社名を消すと聞かされた。

ところが、トラックは翌月そのまま競売にかけられ、ヒューストンからトルコ南部のメルシンへ運ばれた。

それから約1年後、米ニュースサイトへ寄稿しているカレブ・ワイス氏のツイートにこのトラックが登場した。ドアに「マーク1」と書かれたトラックの荷台から、武装勢力が重火器を発砲していた。

画像がネット上に広まり、ニュースメディアにも取り上げられると、会社の電話や同氏の携帯に嫌がらせの電話が計1000件以上も殺到。応答した人をいきなり罵倒したり、アラビア語でずっと歌い続けたりする電話のほか、同氏の家族や従業員を殺傷するとの脅迫もあった。

オーバーホルツァー氏は一時的に会社の業務を停止し、別の場所への避難を余儀なくされた。連邦捜査局(FBI)や国土安全保障省からも事情を聴かれた。画像が流れてから1年が過ぎた今も電話は続き、同氏は護身のために銃を持ち歩いているという。