夫婦殺害、堀被告に死刑=闇サイト殺人の無期囚−「生命を軽視」・名古屋地裁

1998年に愛知県碧南市のパチンコ店店長、馬氷一男さん=当時(45)=夫婦が自宅で殺害された事件などで、強盗殺人罪などに問われた無職堀慶末被告(40)の裁判員裁判の判決が15日、名古屋地裁であった。景山太郎裁判長は「強盗のため冷徹に殺害を繰り返し、生命軽視の態度は甚だしい」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。弁護側は控訴する方針。

堀被告は2007年に女性会社員を拉致、殺害した「闇サイト殺人事件」で、既に無期懲役が確定している。夫婦殺害などの事件が先に起きたこともあり、検察側は今回の裁判で闇サイト事件に言及しておらず、量刑判断が注目されていた。

景山裁判長は判決で、夫婦殺害事件について「堀被告が男2人を誘い入れ、強盗計画を主導した」と指摘。弁護側が共謀を否定した妻里美さん=同(36)=殺害については、「現場にいなかったが、殺害後に実行役をとがめるなどしておらず、事前に了解していた」と判断した。

馬氷さんの殺害も「堀被告がビニールひもで首を絞めた」と認定。「暴れるのを押さえようとした。殺意はなかった」との弁護側主張を退けた。

その上で、「子供らを案じながら突然人生を断たれた恐怖や絶望は察するに余りある。不合理な弁解をして、反省は深まっていない」と非難した。量刑の理由で、闇サイト事件には言及しなかった。

判決によると、堀被告は98年6月、パチンコ店から現金を強奪しようと考えて、男2人と馬氷さん宅に侵入。夫婦を絞殺して約6万円や鍵束を奪った。06年7月には名古屋市守山区の住宅で女性(78)の首を絞め、約2万5000円などを強奪したとされる。

木暮輝信・名古屋地検次席検事の話 事実認定、量刑のいずれも、事案の本質に鑑みて適切な判断をいただいた。