イナゴ調味料いかが? =しょうゆ風、評判上々―和歌山のNPO代表開発

大豆の代わりにイナゴを使ったしょうゆ風調味料を、和歌山県紀の川市のNPO代表が開発した。

塩気の中にほのかにイナゴのうま味が感じられ、評判も上々。「カツオやシイタケのだしと合うので、和食に使ってもらえたら」と提案している。

開発したのは、田舎文化を発信する活動をしているNPO代表の田中寛人さん(33)。日本古来の庶民の暮らしに興味があり、「田舎に残る日本人の暮らしや生活の知恵を多くの人に伝えたい」と製薬会社の営業マンを辞め、2013年に故郷でNPOを設立した。

活動を知ってもらうため「和歌山にある未利用の資源で何か商品を作れれば」と考えた。イナゴに決め、和歌山が発祥の地とされるしょうゆと合体させることにした。

同県湯浅町のしょうゆ醸造元と農業生物資源研究所の協力を得て13年10月から試作品作りに取り組み、14年3月に完成。イナゴとこうじ、塩と水を混ぜて約半年間発酵させ、最後にろ過し殻を取り除く。透明で苦味や臭みはない。商品名はズバリ「イナゴソース」。しょうゆのような「1号」と、塩だれ風の「2号」の2種類を開発した。

試食会で好評だったため、14年に商品化に着手。大量のイナゴが必要となり、県内の田んぼを探し回ったが集団発生している場所が見つからず、結局、ボイル済みの冷凍品約60キロを長野県から取り寄せた。「イナゴは農薬に弱くて繊細な生き物だと後から分かった」という。

15年10月にNPOのサイトを通じて発売。1号と2号の瓶詰セットで税込み5400円。北海道から福岡までの料理人や大学の研究者、一般の人から注文が入り、約30セットが売れた。田中さんは「日本中に探せば変わった人がいた」と笑う。