「ドンキ」が書類送検 激安でも“異常”高利益のカラクリ

あのドンキも“ブラック企業”だったのか――。

 東京労働局は28日、激安量販店のドン・キホーテの執行役員の男性(39)ら8人と法人としての同社を書類送検した。都内店舗の従業員に、労使協定で定めた上限を超える長時間労働をさせた労働基準法違反の疑いだ。

 同局過重労働撲滅特別対策班によると、2014年10月〜15年3月、都内の町屋店、荻窪駅前店など5店舗の契約社員、正社員の20〜50代男女6人に労基法の上限の「3カ月120時間」を超える労働をさせていたという。最長で3カ月間に415時間45分もの時間外労働が明らかになっている。

「対策班は昨年6月、労基法違反の疑いで同社などを家宅捜索しています。対策班は独自調査で違法行為を見つけましたが、業界内ではドンキは目立つ存在でした。全国展開で一部店舗は24時間営業、商品の展示を簡素にするなど商売上手ですが、いかんせん利益率が異常に高すぎました」(労働基準局関係者)

 ドン・キホーテの営業利益率は、14年6月期に5・6%、15年6月期は5・7%と、5%以上を維持している。

 神奈川労働基準局管内で労働基準監督署長を務めた労働衛生コンサルタントの村木宏吉氏が言う。

「製造業のように商品を生産する業界は付加価値が付けられますが、小売業は仕入れた商品を売るのみ。利益は少ないのが当たり前です。スーパーは利益率1%を切るのが普通ですから、何をしたら、ドン・キホーテのように5〜6%の利益が得られるのか、労基局側は不自然に感じたのでしょう。小売業で利益率を上げるには、仕入れ時に正当な金額を支払わないか、人件費を抑えるしかありません」

 親会社のドンキホーテHDは「労務管理に関する指導が不足していた」と反省コメントを出しているが、労働基準局関係者の間では、10年以上前から“要注意”企業だったようだ。

「04年、さいたま市内の店舗で相次いで放火が発生し、死者を出しました。当時、避難経路の策定、防火体制の不備など消防法違反でいくつもの指摘事項が出ていました。これで労働法違反が出ないわけがないと、関係者はみていましたね。それでなくとも、急成長企業は労務管理は後回しになりがちですから」

“違法体質”が激安のカラクリだったのか。