農産物輸出 初の7000億円台 和食ブーム後押し

農林水産省が2日発表した2015年の農林水産物・食品の輸出額(速報値)は、前年比21.8%増の7452億円と初めて7000億円台に達し、3年連続で過去最高を更新した。海外での和食ブームや円安が後押しした。

 政府は「20年に1兆円」を目指し、中間目標として「16年に7000億円」を掲げていたが、1年前倒しで達成した。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の活用などで1兆円目標の前倒しも図り、2日午後に輸出力強化に向けた官民会議の議論を開始する。

 品目別では、リンゴが前年比55.0%増の134億円▽牛肉が34.6%増の110億円▽緑茶が29.6%増の101億円と、いずれも初めて100億円台に達した。日本酒は21.8%増の140億円、コメは56.4%増の22億円。中華料理などに使われるホタテ貝は32.3%増の591億円と全品目で最大だった。

 輸出先は香港が1794億円と最も多く、米国、台湾、中国、韓国と続いた。香港経由で中国本土に渡っている分も多いとみられる。

 輸出額は12年が4497億円と足踏み状態が続いていたが、その後の3年間で7割近く増えた。

 13年に和食がユネスコの無形文化遺産に登録されるなど海外で和食ブームが広がった。また、12年末からの円安進行で日本の農産物が割安で手に入れられるようになった。東京電力福島第1原発事故後に各国で導入された日本産食品に対する輸入規制が徐々に緩和・撤廃されたことも寄与した。