マルチ疑惑の「サンク」 8億円申告漏れ 大阪国税局指摘

飲食店向けのクレジットカード決済端末機器の販売をめぐり、マルチ商法の疑いがあるとして出資者から詐欺罪で大阪府警に告訴され、111億円の負債を抱えて先月倒産したセキュリティー機器販売会社「サンク」(大阪市西区)が、大阪国税局から約8億円の申告漏れを指摘されたことが3日分かった。出資者から集めた資金を売り上げ計上せず、前受け金として処理することで所得を圧縮していたという。地方税を含めた法人税や消費税の追徴税額は過少申告加算税を含め7億4千万円で、同社は修正申告した。

 サンクの破産申立書によると、同社は平成21年12月ごろ、カードと電子マネーの複合決済端末をオーナーに販売し、端末を店舗に設置・利用してもらうことでサンクとオーナーが手数料収入を得る事業を始めた。オーナーは「取次店」としてサンクに加盟金を支払う一方で、取次店が新たなオーナーを勧誘すればサンクから報酬を受け取れる仕組みだった。

 関係者によると、サンクはオーナーから集めた多額の資金を「端末設置着手金」として負債計上し、売上高から除外していた。しかし税務調査で、集めた資金の一部はオーナーに取次店の権利を販売した対価であり、売り上げ計上すべきだったと指摘された。このため、26年8月期までの3年間で約8億円の課税所得が除外されたと認定したもようだ。

 同社ではオーナー契約が拡大する一方で端末の設置台数は伸び悩み、新型端末の開発も頓挫。幹部らが経営する取次店へ多額の金銭が流出するなどしたため、資金繰りに窮したという。その結果、報酬の支払いが滞ったとして、サンクを相手取った代金返還の訴訟が相次ぎ、一部のオーナーは詐欺罪で大阪府警に告訴している。

 サンクは昨年10月末で事業を停止し、今年1月14日には大阪地裁から破産開始決定を受けた。破産申立書によると、同社は修正申告に応じている。