株の下落率、ITバブル崩壊に迫る アベノミクス黄信号

株安・円高の流れが止まらない。12日の東京株式市場は、世界経済の先行き不安から、日経平均株価が2014年10月21日以来、約1年4カ月ぶりに1万5000円台を割り込んだ。この日、本格的に始まった春闘の賃上げ交渉にも影響しそうで、安倍政権の経済政策「アベノミクス」が目指す経済の好循環に「黄信号」がともっている。

日経平均は一時847円安まで下げ、終値は前営業日10日より760円78銭(4・84%)安い1万4952円61銭。3営業日続けての全面安で、下落幅は計2000円を超えた。

 株安の引き金は、11日の海外市場で一時1ドル=110円台後半まで急伸した円相場だ。先行きに不安を抱える投資家が、比較的安全な資産とされる円を買う動きを急速に強めている。約2週間で11円近く円高が進む異例の展開で、株式市場では、業績に不利になる輸出関連株などが売られた。11日に銀行の信用不安を抱える欧州株式市場が総崩れしたことも響いた。

 日経平均の年初からの下落率は21・4%と、2000年のITバブル崩壊時とほぼ並んだ。続く株安で株式などで運用する投資信託の1月の損失は4兆8千億円に上り、過去6番目の規模だった。

 株安・円高が止まらないのは、原油安や中国経済の減速懸念に加え、このところ世界経済を牽引(けんいん)してきた米国経済に陰りが見え始めたことが大きい。米国の景気拡大局面はすでに7年弱も続き、「後退期に入ってもおかしくない」(外資系証券)との見方が広がる。