「118番」海の緊急通報 99%が不要電話

海上保安庁の緊急通報用電話番号「118番」への間違いやいたずらが後を絶たない。関西・四国(徳島、高知)の海を管轄する第5管区海上保安本部(神戸市中央区)が昨年受けた約7万4千件のうち、海難や人身事故、不審船情報などの通報は446件のみで、不要電話が99・4%を占めた。「今日は何曜日?」「魚は捕れましたか」などの悪質な電話も相次いでいる。

「118番」は海上の110番や119番の役割を担い、通報すれば最寄りの管区海上保安本部の運用司令センターにつながる。2000年5月から運用が始まり、07年4月には通報者の位置が把握できるシステムも導入された。

 海難や密輸、密航などへの対応力向上が期待されたが、実際は本来の目的と異なる電話が多発。00年は全国で約60万件の通報があり、99・3%が無言や間違いだった。運用開始から15年以上たっても同様の傾向が続く。

 一方、通報が人命救助につながった例もある。5管管内では昨年4月、水上オートバイに乗っていた40代男性が淡路市沖で漂流。自分で118番し、近くを航行していた神戸海上保安部の巡視艇に救助された。今年1月下旬には、ヨットで無寄港の世界一周を目指していた日本人男性がチリ沖で難破。連絡を受けた奈良県の知人が118番し、男性はチリの民間貨物船に助けられた。

 不要の通報をなくすため、5管本部などは周知イベントなどを開いて118番のPR活動にも取り組む。ただ、110番や119番の際に番号を押し間違える「誤発信」や、時報サービス(117)と勘違いするケースも多く、根本的な解決は難しいという。

 5管本部広報・地域連携室の清水芳弘室長は「本当に助けを求めている人への対応に力を注げるよう、118番への理解を広めたい」と話している。