「自白」評価、録画で判断=無罪主張、乏しい物証―29日初公判・栃木女児殺害

栃木県今市市(現日光市)で2005年12月、小学1年吉田有希ちゃん=当時(7)=を殺害したとして、殺人罪に問われた無職勝又拓哉被告(33)の裁判員裁判の初公判が29日、宇都宮地裁(松原里美裁判長)で開かれる。
 被告は捜査段階で殺害を認めたが、公判では全面無罪を主張する方針。「自白」を除き直接的な有罪の証拠はなく、検察側は状況証拠を積み上げて立証する構えだ。
 被告は取り調べに、「被害者を車で拉致して、わいせつ目的で当時の自宅に連れ込んだ。翌日未明、車で茨城県内の林道に連れて行き、発覚を避けるためナイフで胸を刺し殺害して、遺体を山林に投げ入れた」と供述した。
 事件から逮捕まで8年半が経過しており、物証の収集は困難を極めた。「殺害現場」の林道付近で大量の血痕は確認されず、凶器の刃物も未発見。被害者の遺体から被告のDNA型は検出されず、被告の当時の自宅で収集された微物からも、被害者のDNA型などは確認されなかった。
 物証が乏しい中、重要な証拠となるのが取り調べの録音録画映像。検察側は映像で、供述が自発的だったことと併せて、供述態度などから内容が信用できることを立証する方針。