高利回り「旅行積立」が脚光 マイナス金利時代に魅力的 各社本腰

大型連休や夏休みなどの旅行シーズンを前に、旅行や航空各社が取り扱う「旅行積立」の申し込みが急増している。積み立てたお金を旅行商品券やサービスなどに交換できる仕組みで、使い道こそ限定されるものの、満期時に上乗せされる金額の利率がマイナス金利の影響を受けた現在の預金金利を上回るのが魅力。取扱各社も、マイナス金利の追い風をてこに、新しい顧客の獲得や囲い込みを狙ってサービス拡充に本腰を入れ始めている。

 「(マイナス金利導入の)2月に入ってから問い合わせが増えた」。エイチ・アイ・エス(HIS)の担当者は声を弾ませる。若者の申し込みも多く、3月の申込件数は前年同月の2.5倍にまで膨らんだ。JTBも2月のネット契約件数が6.5倍となったほか、近畿日本ツーリストも2月の契約件数が約1.35倍に伸びている。

 マイナス金利で主要行の預金金利は普通預金0.001%、定期預金0.01%に低下、“高利回り”の旅行積立に注目が集まった。百貨店でも同様のサービスを展開するが、消費の対象が「モノ」から体験などの「コト」に変化する中で、存在感が強まった格好だ。

 取り扱う旅行・航空各社にとっても、リピーターが多い旅行積立は固定客の獲得にも有効。降って湧いた特需を生かすべく、お得感を前面に押し出したプランの充実などを図る。

 航空大手の日本航空は3月、積立の申込者にボーナスマイルを付与するサービスを実施し、3月の申込件数を前年比6.5倍に押し上げた。3月の申込件数が1.6倍のANAグループも6月中旬からキャンペーンを実施予定で、期間中にネットから契約したANAカード会員に対し、満期時の受取額を10万円分ごとに1000円分上乗せする。

 20日から期間限定で大幅な“利上げ”に踏み切るのはHIS。ネット申し込みに限り、満期時の利率を8.4%に引き上げる。申込者全体の受取額が30億円になったら締め切る。夏の旅行に間に合う3カ月満期のプランも用意する予定で、担当者は「一度試してもらえるよう、幅広いニーズに対応した」と、利用拡大に期待を寄せている。