神戸・橋桁落下「危機一髪だった」事故前に通った運転手

神戸市北区の新名神高速道路の工事現場で橋桁が落下した事故を巡り、発生から一夜明けた23日午前、兵庫県警は現場検証を始め、捜査を本格化させた。橋桁の下の国道176号は通行量が多く、川を挟んだ側道も車が頻繁に行き来する。事故前に橋桁を走ったドライバーからは「危機一髪だった」との声が上がっている。

国道176号は、大阪と兵庫北部の丹波、京都北部の宮津などを結ぶ幹線道路。現場近くには中国自動車道の西宮北インターチェンジもあり、付近を走る車の1日の通行量は約2万8000台(2010年調査)に上る。落下事故は夕方にあったが、下りの通行ピークは午後5時台で、当時も帰宅する車などが頻繁に通行していた。

 現場の約300メートル北にある中古車販売店の防犯カメラは、橋桁が落ちる様子を捉えていた。車がひっきりなしに通行する片側2車線の176号の上で、橋桁が波打つように大きく揺れ、約5秒後に橋桁は176号の路面にぶつかった。落下までの約5秒間にも10台近くの車が通り抜けており、ギリギリのところで一般車両の巻き添えは回避された形だ。

 普段から176号を走行し、事故前にも現場を走った男性(76)は「巻き込まれていたかもしれないと思うとぞっとする」。近くの会社に勤務する川田浩輔さん(26)は「事故の10分前に車で現場の下を通っただけに、危機一髪だった。冷や汗が出る」と語った。

 橋桁は西端が落下したが、東端側の一帯には民家が並ぶ。近所の男性(40)は「もし東端が落ちていたら、周囲の家が下敷きになっていたかもしれない」と肩をすくめた。

 一方、県警は業務上過失致死傷容疑で午前10時ごろ、現場検証を始めた。捜査員ら約30人が現場に入り、施工する三井住友建設と横河ブリッジの関係者も立ち会わせ、橋桁の構造や事故当時の状況を調べている。終了までには数日かかる見通し。