北陸新幹線 つながらない…頭が痛い携帯電話「圏外」問題

高崎−金沢間、山間部でトンネル多く 解消工事始まるが…

 昨年3月に金沢駅まで延伸し、今年4月に利用者数1000万人を突破した北陸新幹線。順調に滑り出したが、乗客を悩ませていることがある。それは携帯電話の「圏外」問題。特に高崎(群馬県)−金沢間は山間部でトンネルが多くなり「圏外」が続いてしまうのだ。石川県などからの改善要望を受け、昨年度から解消工事が群馬県内で始まったが、全線解消のめどは立っていない。

 「北陸新幹線に乗る時は読書か寝るかのどちらか。全席コンセント付きでも結局、インターネットがつながらないので、パソコンやスマホも使えない」。金沢市に実家がある前橋市の男性会社員(24)は苦笑する。

 JR東日本・西日本によると、北陸新幹線は、高崎−金沢間(約350キロ)にトンネルが59本あり、総延長は約167キロ。区間のおよそ半分にもなる。特に富山県に入るまではトンネルの連続だ。

 石川県は「携帯不通区間の解消は大きなテーマ」(谷本正憲知事)として、JR西日本などに改善を要求してきた。こうしたこともあり、昨秋から高崎−安中榛名間の五つのトンネル(計3.5キロ)で解消工事が始まった。完了予定は2016年度上期で総事業費は約6億円。石川県交通政策課は「大きな一歩」と歓迎する。

 新幹線の携帯電話の「圏外」問題は北陸新幹線だけではない。

 上越新幹線も高崎−長岡(新潟県)間の約135キロの区間にトンネルが22本(約107キロ)。新潟県からの要望もあり、今年度から高崎−上毛高原間の二つのトンネルで解消工事が始まる予定だ(総事業費約14億円)。

 解消工事が完了しているのは、東海道全線(東京−新大阪)のほか、東北(東京−いわて沼宮内)▽山陽(新大阪−新山口、小倉−博多)▽九州(博多−新鳥栖)しかない。

 工事が進まない背景にあるのは「1キロ1億円」ともいわれる事業費だ。工事はトンネル内に光ケーブルをはわせ数百メートルおきにアンテナを配置する。費用は、国が3分の1、JRが6分の1。残りはNTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社などでつくる「移動通信基盤整備協会」(東京)が負担する。

 協会担当者は「平均乗降客数が多い路線から順次進めていくのが基本方針。JRや携帯電話各社の意向も勘案し、優先順位をつけていく。北陸・上越新幹線は現在の工事以外の着工計画は決まっていない」と話している。