”2ch”に加えて"2ちゃんねる"の商標権も西村博之氏のものに

2ちゃんねる掲示板の創設者西村博之氏が出願していた文字商標"2ch"が、特許庁での拒絶査定の後に不服審判の結果、登録を認められた(西村博之氏が商標権を得た)件については既に書きました。その時には、もうひとつの出願である文字商標"2ちゃんねる"(商願2013−8081)については、審判の結果(審決)が公開されていなかったのですが、つい先ほど、特許情報プラットフォーム上で閲覧可能になりました。予想通り、"2ch"と同じく無事登録です。

文字商標"2ch"は、商標法4条1項10号(他人の周知商標に類似)という理由で拒絶されたものの、2chという商標を周知にしたのは現運営ではなくほとんど西村博之氏であるということから、「"他人"の周知商標とは言えない」という理由により拒絶が取消され、登録となっていますが、"2ちゃんねる"についても同様です。しかも、出願日(2013年1月15日)時点では現運営にはまだ事業が譲渡されていなかったので、「"他人"の周知商標とは言えない」という点は"2ch"のケースよりもさらに明白です(商標法4条1項10号の判断は出願時と査定時の両方において行なわれます)。

"2ちゃんねる"は商標としては"2ch"より使用範囲が広いと思われますので、今後、西村博之氏がどうでるか興味があります。ただ、何回も書いているように、合意の下で事業を譲渡した相手に対して商標権を行使するのは権利濫用とされる可能性が高いのではないかと思います。かと言って事業譲渡は合意の下ではない(乗っ取りである)という主張をすると他の裁判との整合性の問題が生じるのでそう簡単にはいかないと思われます。