確定申告書の公開拒否=トランプ氏、強まる疑念―米大統領選

米大統領選で共和党の指名獲得を確実にした実業家ドナルド・トランプ氏(69)が、年収などを記した確定申告書の公開を拒んでいる。

 「何か隠しているのではないか」と疑う声は日増しに強まっており、扱いを誤れば大統領選の行方に影響しかねない雲行きだ。

 米メディアによると、申告書の公表はニクソン政権時代から続いている大統領選の慣例だ。トランプ氏は2012年の大統領選で、申告書を隠そうとした共和党候補のロムニー元マサチューセッツ州知事を批判した経緯もあり、今年1月には「美しい申告書」を出すと豪語していた。

 ところが、2月に入ると姿勢を一変。「監査中だ」と拒むようになり、一時は11月の本選前に公開するつもりはないと言い切った。さすがにこの発言は修正したものの、最近では公表を求める記者に「余計なお世話だ」と発言。早く明らかにすべきだとの声は共和党支持層にも広がっている。

 20日には、少なくとも1970年代の2年間、トランプ氏が税制の抜け穴を利用して所得税を1ドルも払っていなかったことが報道で明るみに出た。昨年7月に過去8年分の申告書を公開した民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(68)は22日、「税金逃れの露見を恐れて申告書を出せないなら、大きな問題だ」と批判した。