ソフトバンクのアリババ株売却、1兆円超に ガンホー売却も決定

ソフトバンクグループ<9984.T>は3日、保有する中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディング<BABA.N>株の売却総額が、100億ドル(1兆0900億円)に達すると発表した。1日の発表時は79億ドル以上を予定していたが、投資家の需要が強かったことから2日に10億ドル、3日に11億ドルの追加売却を決めた。

売却は財務体質の強化が主目的で、調達資金は有利子負債の返済などに充てる。この結果、連結純有利子負債/調整後EBITDA倍率は16年3月末時点の3.8倍から3.2倍程度まで改善する見通し。

同社のアリババ持株比率は32.2%から約27%に低下するが、持分法適用会社の位置づけは変わらない。

売却について広報担当者は「財務の健全化が目的で、何か案件があるわけではない」と語った。

また、保有するガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765.T>株の売却も併せて決めた。1日にガンホーに株式売却を打診。ガンホーは3日に自己株式の公開買い付けで取得することを伝えた。

ソフトバンクグループとソフトバンクは、昨年12月末現在でガンホー株を2億7260万株(持株比率28.41%)保有しており、このうち2億4830万株(同23.47%)を売却する。公開買付価格は2日終値から4.85%ディスカウントした1株294円で合意した。売却総額は約730億円となり、ガンホーは持分法適用会社から外れる。

孫正義社長はグローバル展開への取り組みを発表した昨年5月の決算発表時に「今後はこれまで以上に投資・売却が頻繁に起こる」と述べ、取捨選択の加速方針を表明していた。

同社はグローバル経営を強化するために組織再編を進めており、海外部門はニケシュ・アローラ副社長の権限がより強まっている。

アローラ副社長は1日、アナリスト向けの電話会議で、アリババ売却で得た資金は財務の改善に充てる予定だと説明。米ヤフー<YHOO.O>の事業取得に充てることはないとの考えを示した。

同社はスマートフォン向けゲームを手掛けるフィンランドのスーパーセルの売却も検討しており、ポートフォリオの見直しを加速させている。