ダーク?それともハイブリッド?ヨーカ堂と西友、ネットスーパー事業で新機能競う

効率がよく、儲かる仕組みはどっちだ!

 ハイブリッドか、ダークストアか―。大手スーパーがネットスーパー事業で新機能を競っている。セブン&アイ・ホールディングス(HD)傘下のイトーヨーカ堂は、一般顧客を受け入れずインターネットなどで注文を受け宅配するネットスーパー専用に特化したダークストアと呼ばれる商品センターを都内に展開している。これに対し西友は一般顧客が入る店舗に、ネットスーパーの商品センター機能を持つハイブリッド型店舗を構築した。コストが課題のネットスーパーで、効率的な運営ではどちらに軍配が上がるか。

 西友は東京都練馬区に1階が実店舗、2階にネットスーパー専用の商品をストックし、ピッキングを行うスペースを持つ「ハイブリッド型店舗」をオープンし、17日からはネットスーパーの受注も本格的に始める。

 2階のネットスーパー専用フロアでは常温、チルド商品をストックし、生鮮食品や冷凍食品などは注文をまとめ1階の店舗からピッキングする。ハンディターミナルを導入し、1度に4件分の注文を最短でピッキングできるように順番を表示するなど、フロア内での作業を効率化する。受注と配送能力を、通常店舗のネットスーパーに比べ3―4倍に高める。

 ヨーカ堂のダークストアは、オープン以来1年以上がたつ。同社によると売り場連動の店舗をベースにしたネットスーパーは、1日当たり500件程度の注文処理能力。だが、このダークストアは約4倍の処理能力まで高まるとしている。

 処理能力の向上という点でみると西友と同等だが、ネットスーパーの課題は効率的な配送体制が敷けるか否か。西友のハイブリッド型店舗、豊玉南店の売り場面積は約500平方メートル。こうした小型のハイブリッド型店舗を多店舗展開すれば、実店舗からの収益も獲得しながらネット受注は処理能力、配送効率を高められるメリットもありそうだ。

 西友の親会社、米ウォルマート・ストアーズは、ダークストアを多店舗化。顧客はネットで注文した商品を自ら、このダークストアに引き取りに行くスタイルで成功している。

 ネットスーパーの多くは現在、店舗がベース。一般顧客が入る店舗でのピッキングでは、作業効率の向上にも限界がある。しかし、ダークストア、ハイブリッド型ともに、ネット専用のため作業が合理化できる。

 今後、仕事を持つ主婦層や買い出しに不便を感じるシニア世帯の増加で、ネットスーパーの比率が高まるのは必至。効率的なネットスーパーのスタンダードをどう確立するか。今後、大手スーパーの競争が激しくなりそうだ。

<西友、ハイブリッド型店舗を公開>

 西友(東京都北区)は16日、ハイブリッド型店舗の1号店である豊玉南店(東京都練馬区)の2階に設けた、ネットスーパー専用フロアを公開した。ハイブリッド型店舗の出店は、米ウォルマート・グループで初めて。

 豊玉南店の2階には飲料やトイレットペーパーなどの売れ筋商品をまとめて配置し、従業員が同時に4件分の注文に関するピッキングが可能なカートを導入するなど、効率的に作業ができるようにした。

 西友の久野克宜執行役員は「都市部でネットスーパーの需要は拡大しており、既存店においても、作業効率向上に向けた改装を進めている」と述べた。