17歳、うっかり選挙違反注意 SNS世代、教育現場は恐々

19日施行の改正公選法で選挙権年齢が18歳に引き下げられる中、高校3年生が同じようにツイッターで「この候補を応援して」とつぶやいても、年齢が17歳の生徒は公選法に触れる可能性があることに教育現場が恐々としている。インターネットを利用した選挙運動は3年前に解禁されたが、選挙権のない17歳は一切の選挙運動ができないからだ。生まれたときからの「ネット世代」のうっかり選挙違反を防ぐ妙手はあるか。

 「18歳になりました。選挙権ゲット!」「選挙権おめでとう! これからも仲良くしよーね」。ツイッター上には無邪気な書き込みが並ぶ。9割がスマートフォンを持つ高校生にとって、ツイッターなどの会員制交流サイト(SNS)は当たり前のコミュニケーションの手段だ。政治への関心が高まれば、選挙などが話題となるのも自然な流れだが、特定候補を応援するつぶやきに共感した高校3年生が「リツイート」して広めた場合、18歳ならば問題ないが、17歳ならば公選法違反に当たりかねない。

 実際、昨春の統一地方選では高校生の「選挙運動」ツイートが広がった。今春18歳になった北部九州のある男子高校生は、好感を持っていた候補者への投票を呼び掛ける投稿をリツイートした。「いい人やけん応援したかった。拡散して、それを見た大人が投票してくれればと思った」と振り返るが、今年、学校の授業で当時の自身の行為が公選法に触れかねないことに気づいた。「やばいかな」。不安が頭をもたげたという。

 高校生のネット選挙運動について、総務省は「ポスターなどでルールの周知を図っている」とする。18歳選挙権の目的の一つは若者の政治参加を促すことで、同省も文部科学省とともに副教材を配るなどPRに力を入れる。ただ、福岡県内の公民科の教諭は「SNSの選挙運動は誤解を招くといけないのであえて触れない」と本音を吐露する。

 同県のある高校教頭も「選挙運動についての校則もなく、違反があったときの対応が見えない」と打ち明ける。教育現場が手探りを続ける中、18歳選挙権はいよいよ実動段階に入った。