長期金利操作とは? =世界でも異例

日銀がこれまでのマイナス金利政策を通じた短期金利の操作に加え、長期金利を一定の水準に誘導することを柱とする新たな金融政策の枠組みを導入した。

 ―長期金利の操作とは。

 中央銀行の金融政策は通常、短期金利を操作する。日銀はこれまで金融機関が預け入れる当座預金残高の一部に適用する金利をマイナス0.1%に設定し、短期金利をマイナスに押し下げてきた。日銀は今回、長期金利の指標である10年物国債の流通利回りを0%に誘導する枠組みを新たに設けた。中銀が長期金利を操作するのは世界的にも異例だ。

 ―長期金利をどう操作するのか。

 長期金利が過度に低下(債券価格は上昇)した場合に国債の購入額を減らし、上昇し過ぎれば買い入れを増やす。従来は国債を年80兆円のペースで買い増すという「量」の増加に重点を置いてきたが、これからは「長期金利」を0%にするよう購入額を調整し、必要なら買い入れ量を引き下げる。

 ―短期と長期二つの金利を使うと効果は違うの。

 日銀は、銀行の融資金利との連動性が高い3〜5年程度の金利を大きく押し下げることが景気刺激に効果的だと分析する。一方で、10年よりも長い40年物など超長期国債の利回り低下は、年金基金や生命保険の資産運用を難しくするなど副作用が目立ってきている。このため、短期と長期の二つの金利の目標水準を明示することで、短期の金利を効果的に下げるとともに、より長い期間の金利が過度に低下することを防ぐ。

 ―国民生活に影響はあるの。

 マイナス金利政策の導入後、銀行の収益は悪化したが、すぐに個人の預金口座に手数料を課すことは考えていない。年金基金などの運用成績が上がれば、将来に対する人々の不安が薄れ、消費が増えることも期待できる。ただ、長期の金利が上がると住宅ローン金利が上昇するなどのデメリットも考えられる。