景況感、2期連続横ばい=大企業製造業、円高が重し―熊本復旧が下支え・日銀短観

日銀が3日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)は、大企業製造業がプラス6となり、2四半期連続で横ばいだった。円高が重しとなったが、熊本地震の影響一巡や世界経済の先行き不安後退が景況感を下支えした。

 業況判断指数は、景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」の割合を引いた値。2016年度の大企業製造業の想定為替レートは1ドル=107円92銭。英国の欧州連合(EU)離脱決定後の市場動向を反映し、6月調査から3円以上円高方向に修正された。

 現状のDIを業種別に見ると、自動車は、マイナス2からプラス8へと大きく改善した。熊本地震で被災した関連工場の復旧に加え、燃費不正を起こした三菱自動車の軽自動車生産再開も景況感改善を後押しした。国際価格の下げ止まりを受けて、鉄鋼も12ポイント改善した。

 造船・重機はプラス4からマイナス18へと22ポイント悪化。汎用(はんよう)機械や生産用機械も落ち込んだ。円高に加え、企業の設備投資姿勢の慎重化が影響したとみられる。

 大企業非製造業のDIはプラス18と3四半期連続で前回調査を下回った。国内消費低迷や訪日外国人客の高額品購入の減少で、小売りが冷え込んだ。台風の影響で運輸・郵便が悪化する一方、建設は改善に転じた。このほか、中小企業は製造業、非製造業ともに小幅改善した。

 3カ月後の見通しを示すDIは、大企業製造業がプラス6と横ばい。大企業全産業の16年度設備投資計画は前年度比6.3%増と前回調査とほぼ変わらず、円高を背景に企業が先行きを慎重に見ていることをうかがわせた。

 金融機関のDIは6四半期連続で悪化した。銀行などは日銀のマイナス金利政策による収益への影響を懸念している。