門真・4人殺傷 叫び声で長女「知らない男が父に馬乗り」

15歳長男が24歳容疑者を取り押さえる 服は血だらけ

 刃物を持った男が突然、民家に押し入り、寝ていた一家を次々に襲った。19日、大阪府門真市の大工、川上幸伸さん(43)が自宅で刺されて死亡し、10代の長女や長男ら3人も切りつけられて負傷した事件。現場周辺は救急車やパトカーが集まって騒然とし、近所の住民らは「一体何があったのか」「なぜこんなことに」と肩を震わせた。

大阪府警によると、2階で寝ていた長女が突然、「おまえ誰や」という父の叫び声を聞いた。2階にある川上さんの寝室で事件を目撃した長女は、「知らない男が父親に馬乗りになって刺していた」と説明したという。その後、長男(15)が暴れる同市北岸和田3、定時制高校生、小林裕真(ゆうま)容疑者(24)を床に押さえ込んだ。上着が血だらけの小林容疑者は逃げようとせず、府警門真署員が駆け付けた際、2階廊下でうずくまるように座っていたという。長男は近くで倒れていた。

 近所に住むパートの女性(43)はパトカーのサイレンの音で目が覚めた。「外に出ると、パトカーがたくさん来ていて驚いた。自分にも子どもがいるので不安だ」と話した。近くに住む別の男性(41)は、長女が川上さんの長男と小中学校の同級生といい、事件をニュースで知って駆け付けた。男性は「川上さんは小学校の運動会に毎回来て、脚立を使って長男らを撮影していた。『子どもが好き。かわいい』と話していた」と振り返り、「すごく優しく、親しみやすい人だった。他人から恨まれるような人ではなく、どうしてこんなことになったのか」と悔しさをにじませた。近所の別の女性(40)も「やさしそうな人だったのに。何があったのか」と声を詰まらせた。

 殺人未遂容疑で現行犯逮捕された小林容疑者の自宅は、川上さん宅から南東約600メートルの距離にある。近所の人によると、1階で母親が飲食店を経営している。店の常連という男性(50)は「5、6年前に母親から『高校生の息子が引きこもりで悩んでいる』と聞いたことがある」と話した。

 川上さんと小林容疑者との関係は分かっていない。19日午前、府警の捜査員が小林容疑者宅に出入りする姿が見られた。