マイナス金利「副作用」注視=金融機関、不動産に傾斜―日銀

日銀は24日公表した金融システムリポートで、マイナス金利政策の「副作用」を注視する姿勢を改めて打ち出した。銀行や生損保などの金融機関は、金利低下による収益力低下を補うため、一定の利回りが見込める不動産向けの投融資や外国債券での資金運用に傾斜している。資産価格が下落すれば経営基盤が揺らぎかねないため、日銀は金融機関が適切にリスクを管理しているか点検する考えだ。

 銀行や信用金庫の不動産業向けの新規貸出額は今年1〜3月期に4兆4113億円、4〜6月期に3兆1271億円と、いずれもバブル期を上回る水準に膨らんだ。低金利で不動産関連企業の借り入れ意欲が強いほか、節税目的で賃貸住宅を建設する個人への融資も増えている。地方銀行の間では、不動産ファンドに直接投資する動きも広がっている。

 バブル期には、高騰した地価の急落で不動産融資が大量に焦げ付き、金融不安につながった。リポートは、「不動産市場は過熱の状況にはない」としながらも、大都市圏での高値取引の事例を指摘。「高値取引が地方圏に広がらないか注意深く点検していく必要がある」とバブル化への警戒感をにじませた。