確定拠出年金 個人型解禁に注目 生保や証券が売り込み

これまで自営業者らにしか加入が認められてこなかった個人型の確定拠出年金(DC)が、来年1月から原則全ての人に解禁されるのを前に、生命保険や証券会社が売り込みを積極化している。公的年金を補完するものとして「市場規模は1兆円に達する」との期待もあり、各社は手数料が安い商品などを相次いで投入して顧客獲得を競っている。

 個人型DCは、銀行や証券会社が提示する投資信託などの商品を加入者が選び、掛け金を支払って運用を委託する仕組み。金融機関はこれまで顧客数の多い企業型の販売に注力してきており、今年3月末で個人型の加入者は約26万人と、企業型(約548万人)に比べ大幅に普及が遅れている。

 しかし、来年1月の法改正で専業主婦や公務員に販売ができるようになり、個人型の対象者は約2700万人増の約6700万人に拡大。老後不安の高まりや、課税面で優遇されることからDCに対する関心は高く、各社は販売拡大の大きな好機とみている。

 インターネット取引中心のSBI証券は9月下旬から17年3月末まで、新規加入時の手数料や口座管理手数料を無料にするキャンペーンを始めた。「短期的に利益を得るのは難しいが、まずは顧客獲得を優先させたい」(広報担当者)との狙いだ。

 日本生命保険は加入者向けに、旅行や買い物を優待価格で利用できるサービスを導入予定。全国の公務員約167万人を顧客に持つ労働金庫連合会(労金連)も、全国各地の店舗網を生かして投資や運用に関する相談にのるなど、DC普及に力を入れる方針だ。

 楽天証券も9月下旬から個人型DCに参入するなど、個人型DCを扱う「運営管理機関」は今年5月の改正法成立後5機関増え、155機関(10月1日現在)となった。

 アンケート調査を基にした野村総合研究所の試算によると、法改正で新たに対象になる人のうち計941万人が加入を希望し、拠出額は年1兆177億円に上るとみており、個人マネーの獲得競争が激しくなりそうだ。

 ◇ことば【確定拠出年金(DC)】

 公的年金に上乗せされる私的年金の一つ。加入者が掛け金(保険料)を自分の判断で運用し、運用成績次第で年金受取額が変わる。掛け金が全額、課税所得から控除されるなど、税制上の優遇措置を受けられる利点がある。老後の備えとして政府は制度拡充を進めており、来年1月から個人型を専業主婦や公務員に解禁するほか、企業型についても、従業員100人以下の企業に対して事務手続きを簡略化した制度を創設する。