日産ゴーン改革「再来」に部品会社が戦々恐々

「競争力のないサプライヤーとはビジネスができない」。10月20日、三菱自動車の株式34%を握り、筆頭株主となった日産自動車。「コストカッター」の異名を取る同社のカルロス・ゴーン社長は、三菱自動車の事実上の傘下入りに際し、そう語った。

「まず購買分野に着手するのがゴーン流」と話すのは、日産系部品メーカーの首脳だ。日産の経営再建に当時役員としてかかわった。1999年にゴーン氏が発表した「日産リバイバルプラン」では、日産が仏ルノーと部品の共同購買を進め、部品メーカー数を4割、購買コストを2割削減する改革を断行した。

 日産・ルノー連合は、三菱自動車を加えた2016年度の世界販売台数を1000万台と見込む。規模のメリットを享受するうえで重要なのは、やはり車のコストで6〜7割を占める部品の調達費を削ること。「ゴーンさんはスピード感が違う。取引先の組み替えがどこまで行われるか戦々恐々だ」。売上高の半分以上を三菱自動車向けが占める部品メーカー幹部は危機感を抱く。

■三菱自の国内工場を再編か

 日産・ルノー連合は従来進めてきたプラットホームの共有化や工場の共用化の取り組みを、今後三菱自動車にも拡大する。部品メーカーが最も恐れるのは、国内生産拠点のリストラだ。日産と三菱自動車の国内生産能力を合わせると年産200万台弱だが、2015年度の生産実績は150万台であり過剰ぎみ。ゴーン氏は日産の再建で国内生産拠点5カ所を閉鎖する荒療治を断行し、その効果を熟知している。

再編対象の工場は?

 再編対象になりうるのが、輸出比率の高い工場だ。「将来的に日産やルノーの海外工場で三菱車を生産することになれば、三菱自動車の国内生産縮小は避けられない」。三菱自動車と取引のある東海地方の部品メーカー幹部は情報収集に躍起になっている。国内向け比率の高い部品メーカーは契約を切られる可能性がある。

■小規模部品メーカーの生き残りは厳しい

 三菱自動車は国内生産65万台のうち、3分の2を輸出する。水島製作所は国内専用の軽自動車が多い。焦点はSUV(スポーツ多目的車)を軸に輸出が9割を占める岡崎製作所や、同8割のパジェロ製造だ。

 自動車の全面改良は4〜5年ごとのため、実際の再編には時間を要する。三菱自動車のサプライヤーにとって目下の課題は、今後も受注を維持できるかどうかだ。日産と三菱自動車は2018年にも新型の軽自動車を投入する。開発主体は三菱自から日産に移るため、前出の日産系部品メーカー首脳は「今回の軽の仕事を取らない手はない」と、取引実績をテコに新規受注を狙っている。

 「ゴーン改革で競争力を鍛えられた日産系部品メーカーは開発力やコストで優位性があり、地場の小規模の部品メーカーは厳しい戦いを強いられる」(SMBC日興証券の松本邦裕シニアアナリスト)。「ゴーン・ショック」は再び起こるのか。自動車部品業界はかたずをのんで見守る。