TPP停滞ならアジアに軸足=安倍首相見通し、中国に懸念も―参院特別委

参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会は15日午前、安倍晋三首相と関係閣僚が出席して集中審議を行った。

 首相は、TPPが進まない場合、「(世界の)軸足は(アジア広域の)域内包括的経済連携(RCEP)に移るのは間違いない」との見方を示した。自民党の佐藤正久氏への答弁。

 同時に首相は、RCEPで域内最大の国内総生産(GDP)を誇る中国に関し、国有企業優遇や知的財産権保護の遅れなどへの懸念を示した。その上で「TPPが(自由貿易の)一つのモデルにならなければならない」として、あくまでもTPPを推進する姿勢を強調した。

 首相は、ペルーで開催予定の首脳会合で「しっかりTPPを発効させようという意思を確認したい」とも述べ、参加各国に国内手続きの早期完了を呼び掛ける意向を示した。

 TPP離脱を主張してきたトランプ次期米大統領に関し、首相は「君子は豹変(ひょうへん)す」とのことわざを引用。「保身で豹変するのではなく、国や国民のためにメンツを捨てて判断することが、われわれ指導者に求められる姿勢だ」と述べ、方針転換に期待を示した。

 民進党の田名部匡代氏は、「米大統領選で状況が変わった」として、承認を急ぐ必要はないと主張。これに対し、首相は「TPP批准が国益につながる」と反論した。