JR北海道、維持困難路線「13区間」 18日にも正式発表

与党国会議員ら前に島田社長が初言及

 JR北海道の島田修社長は14日、東京都内で道内選出の与党国会議員らの会合に出席し、抜本的な鉄道事業見直しの対象となる「JR単独では維持が困難な路線」について、10路線13区間となることを表明した。島田社長が公の場で具体的な維持困難路線に言及したのは初めて。18日にも記者会見を開いて正式発表する。今後、路線廃止を伴うバス転換などを軸に、沿線自治体との協議に入る。

島田社長が14日、非公開の自民、公明両党の「北海道総合振興に関する勉強会」で明らかにした。JRは7月下旬に鉄道事業の抜本見直し方針を明らかにした際、維持困難路線を「秋口まで」に公表するとしていたが、8、9月の台風被害の復旧作業を優先し、発表を見合わせていた。島田社長は「(一連の台風の)災害復旧にも一定のめどがついた。18日にも発表したい」と話したという。JRは早急に沿線自治体と協議に入る方針だが、13線区の関係自治体は56市町村に上り、協議は難航も予想される。

 維持困難路線は、現在の道内の鉄路の約半分に当たる計1237・2キロ。JRは1キロ当たりの1日平均輸送人員を示す輸送密度のほか、区間ごとの赤字額、その区間に設置されているトンネルや橋などの設備の老朽化の状況などを踏まえ、路線を選定した。

留萌線、札沼線などバス転換提案へ

このうち 留萌線 深川―留萌間、札沼線(学園都市線)北海道医療大学―新十津川間、根室線富良野―新得間の3路線3区間(計179・4キロ)は、輸送密度が200人未満と利用状況が極めて少なく、早期にバス転換を提案する。同じく輸送密度200人未満の石勝線新夕張―夕張間(16・1キロ)は廃止が決まっている。

 また、日高線の苫小牧―鵡川間と鵡川―様似間(現在は不通)、宗谷線名寄―稚内間、根室線の釧路―根室間(花咲線)と滝川―富良野間、室蘭線沼ノ端―岩見沢間、 釧網線 東釧路―網走間、石北線新旭川―網走間、富良野線富良野―旭川間の計7路線9区間(計1041・7キロ)については、鉄道設備を自治体に所有してもらう「上下分離方式」を軸に、沿線自治体と協議を進める方針。

 根室線帯広―釧路間と宗谷線旭川―名寄間の2路線2区間(計204・5キロ)についても、将来的に地元などへの負担増を求める方針を示した。両区間は、列車の高速化事業などを行う 第三セクター の北海道高速鉄道開発(札幌)が線路の一部などを保有しており、同社には各沿線の帯広市、釧路市などの自治体も出資している。JRは同社を通じて、維持管理費などの積み増しを求めるとみられる。

 今後、12月に留萌線留萌―増毛間が廃止されるほか、 北海道新幹線 の延伸に伴い函館線函館―小樽間(287・8キロ)も経営分離される見通しだ。