言動一転、慎重さ目立つ=国民融和重視か−トランプ次期米大統領

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トランプ次期米大統領は8日の大統領選で勝利して以降の1週間、選挙で見せた好戦的な言動から一転し、慎重で穏健な姿勢を際立たせた。

「空前の醜さ」といわれた選挙戦後の国民融和を重視し、政権発足後の政策実現をにらんだ布石を打っているともみられる。ただ、これまで発言を二転三転させるのも珍しくなかっただけに、「大統領らしさ」が定着するのかどうかは、もう少し見極める必要がありそうだ。

 トランプ氏は選挙遊説で、うそや極論でも断言して相手を激しく攻撃してきた。しかし、9日未明の勝利演説で早くも、こうしたトーンを180度転換させ、「全ての米国民のための大統領になる」と団結を訴えた。これを聞いたオバマ大統領は「心強く思った」と評価した。

 11日のCBSテレビのインタビューでは、トランプ氏支持者による中南米系住民ら少数派への嫌がらせについて聞かれ、「非常に悲しい」と語った。「役に立つなら、私がカメラに向かって言おう。『やめなさい』」と真剣に呼び掛けた。

 論議を呼んできた政策面でも柔軟さを見せ始めた。トランプ氏と話し合ったオバマ大統領によると、「時代遅れ」と厳しく非難してきた北大西洋条約機構(NATO)について、トランプ氏は「戦略的関係の維持に非常な関心を示した」という。日韓核武装容認論も「言っていない」と否定した。

 選挙戦で一貫して撤廃を訴えた医療保険改革法(オバマケア)に関しては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューで、一部条項の維持を検討すると明らかにした。不法移民対策でも、いきなり全員を強制送還するのではなく、犯罪歴のある移民をまず対象にする考えを示した。メキシコ国境の壁建設では一部が「フェンス」になるという見通しを明らかにしている。 

 ただ、NATOとの協力や日韓核武装容認論の否定には選挙戦中にも言及していた。不法移民強制送還の手順についても、もともとあいまいな部分があった。

 政策面で過度に譲歩すれば、支持者の反発を招くリスクもある。13日には、トランプ氏を批判してきたニューヨーク・タイムズ紙をツイッターで攻撃するという従来の顔ものぞかせた。選挙後に重責を意識し、一時的に用心深くなっているだけなのかどうかは、なお予断を許さない。

◇トランプ氏発言の変遷
       大統領選前              大統領選後        
民主党やクリントン氏は腐敗       全ての米国民のための大統領になる   
共和党のライアン下院議長は役立たず   ライアン議長と壮大なことを実行する  
NATOは時代遅れ           戦略的関係の維持に関心        
日韓の核武装容認も           核武装容認とは言っていない      
オバマケアは大失敗。撤廃する      一部条項維持も検討          
不法移民を全員強制送還         犯罪歴のある移民をまず送還      
メキシコ国境に壁を築く         一部はフェンスも