不動産融資、最高の7兆円=マイナス金利で、日銀は過熱警戒―16年度上期

日銀は16日、銀行や信用金庫の不動産業向けの新規融資額が、2016年度上半期(4〜9月)に前年同期比14.7%増の7兆706億円に達したと公表した。バブル期を含めて上半期としての過去最高を2年連続で更新した。マイナス金利政策の影響で、不動産関連企業の借り入れが活発化しているためだ。日銀は不動産市場の過熱につながらないか警戒している。

 新規融資額は、都市銀行や地方銀行など139行と265信用金庫の合算。銀行は16.8%増の5兆8943億円、信用金庫は5.4%増の1兆1763億円だった。東京五輪・パラリンピックに向けた首都圏の再開発や、不動産投資ファンドに対する融資が伸びたほか、節税目的で賃貸住宅を建設する個人への貸し出しも増加した。

 企業の設備投資が勢いを欠く中で、地価上昇などを背景に資金需要が伸びている不動産業界は、金融機関の数少ない有望な貸出先になっている。ただ、「積極的な融資が不動産への過剰投資を後押ししている」(民間信用調査会社)として、バブル発生を招かないか懸念する声も出ている。