長期金利が上昇、これってよいこと?悪いこと?

米大統領選でトランプ候補が当選したことをきっかけに、米国の長期金利が急上昇しています。これに釣られて日本の長期金利も徐々に上がっているのですが、これはよいことなのでしょうか。それとも悪いことなのでしょうか。

米国債の金利が一気に上昇、トランプ氏の経済政策に市場が期待

 大統領選の前まで、10年物米国債の金利は1.7%〜1.8%程度で推移していましたが、トランプ氏の当選が決まると、株価が急上昇。これに合わせて米国債の金利も一気に2.3%に上昇しました。米国の金利が上昇したのは、トランプ氏が掲げる経済政策に市場が期待しているからです。

 トランプ氏は総額で5000億ドル(約55兆円)を超えるインフラ投資を公約として掲げており、これが実現した場合、米国の景気には大幅なプラスになります。しかもトランプ氏は減税という公約も掲げていますから、インフラ投資の財源は国債となる可能性が高いでしょう。景気が拡大することや、国債の増発は金利の上昇要因ですから、市場はすぐにこれを察知して国債を売ったわけです。

日本の長期金利も上昇

 一部では、財政面の悪化によるいわゆる悪い金利上昇を懸念する声もありますが、米国はオバマ政権時代に財政再建を達成しており、財政に余力があります。今のところは素直に景気拡大を評価した金利の上昇とみてよいでしょう。

 米国の金利が上昇すると、日本の長期金利も上昇することになります。金利差の拡大を放置しすぎると、ドル高がさらに進むことになるため、金利がこれを調整する可能性が高いからです。実際、米国の金利上昇に合わせて日本の金利も上昇し、とうとう15日には10年物の国債の金利がプラスになってしまいました。

指し値オペ効果も限定的、金利上昇に歯止めはかかるか

 これに慌てたのが日銀です。日銀は9月の金融政策決定会合において、長期金利をゼロ付近に固定化する新しい量的緩和策の導入を決めたばかりです。もし市場で金利の上昇が進み、日銀がこれを抑えきれなくなると、量的緩和策が瓦解してしまいます。日銀は17日、市場より低い価格での「指し値オペ」を実施。とりあえず金利は落ち着きましたが、翌日から金利は再び上昇しています。

 指し値オペは、あくまで心理効果を狙うもので、実弾としての効果はありません。今のところ金利が際限なく上がっていく状況ではありませんが、米国の金利上昇に歯止めがかからない場合には、日銀は金利上昇を抑えるため追加緩和に踏み切る可能性も出てくるでしょう。しかし市場で日銀が購入できる国債の量には限度がありますから、もしそうなった場合、日銀は非常に微妙な立場に追い込まれることになります。