伊首相、進退懸ける国民投票=オーストリアでも大統領選−ポピュリズム台頭の懸念

上院の権限を大幅に縮小する憲法改正の是非を問うイタリアの国民投票と、オーストリア大統領選が4日、それぞれ行われた。

いずれも結果次第では「反EU(欧州連合)」や「反難民」を掲げる勢力の躍進につながる可能性がある。6月の英国のEU離脱決定や11月の米大統領選でのトランプ氏勝利など、ポピュリズムや既存政治に対決する勢力の台頭が、欧州でさらに広がるのか。欧州各国で来年相次ぐ重要選挙に影響を与えるとの見方もあり、世界が動向を注視している。 

 イタリアの憲法改正は、上院から内閣不信任などの権限を剥奪することが柱。戦後、短命内閣が続いた不安定な政治を終わらせることが目的だが、発言力の低下を懸念する野党は猛反発。EUに懐疑的な立場を取る新興野党「五つ星運動」を率いる人気コメディアンのベッペ・グリッロ氏は2日の集会で「国民よ目を覚ませ。覚悟を決めて反対票を投じよう」と訴えた。

 改革を推進するレンツィ首相は、国民投票で敗北すれば退陣する意向を示唆。退路を断って賛成を呼び掛けてきたが、世論調査では反対派がやや優勢だ。首相は支持者らに「態度を決めていない人がいたら最後まで説得を続けてほしい」と要請し、挽回に努めた。

 投票結果は、経営難に陥った国内3位の銀行大手モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナの再建計画にも影響する。否決に終われば政治の混乱を警戒し、国外の機関投資家が同行への資金提供を手控える恐れが高まる。同行の破綻懸念が強まり、金融市場に波乱をもたらしかねない。

 投票は4日午前7時(日本時間同日午後3時)から始まり、午後11時(同5日午前7時)まで続く。即日開票され、5日未明(同日午前)にも大勢が判明する見通しだ。

 一方、オーストリアでは大統領選の決選投票が実施された。反難民の極右・自由党のホーファー国民議会(下院)第3議長(45)と、難民に寛容なリベラル系の「緑の党」前党首ファンデアベレン氏(72)が決選に進出した。