「エビのまち」の甘エビ、極度の不振 漁獲量昨年の半分 北海道羽幌町

水揚げ日本一の町に危機感 漁師歴35年以上「こんなの記憶にない」

甘えび201612110004
北海道羽幌町の特産として知られる甘エビ(ナンバンエビ)漁が今年、不振を極めている。漁獲量は11月末現在、昨年同期の半分。品薄状態で単価は跳ね上がり、水産加工業者や消費者にも影響が及んでいる。水温の上昇など海の環境変化を指摘する声もあり、水揚げ日本一をPRする羽幌町の関係者は「来年も不漁が続くようなら深刻だ」と危機感を募らせている。

 「一年を通して、ここまで捕れないのは記憶にない」―。エビかご漁船の船長で漁師歴35年以上の蝦名弥(わたる)さん(57)は今年の漁を振り返り、「高値が付いても水揚げ総量が半分では商売にならない」と嘆く。

 北るもい漁協所属のエビかご漁船は100トン前後の大型が3隻、20トン以下の小型が6隻の計9隻。漁期は3月から翌年1月までで、主に羽幌港の北西約100キロの「武蔵堆」と呼ばれる海域の周辺で操業している。漁獲量は年間千トン前後で安定して推移してきた。ところが、今年は11月末現在で647トンで、ナンバンエビだけを見ると、前年同月比49%減の338トン。代わりにボタンエビが19%増の261トンと伸びている。

 春先から不漁が続き、期待された秋以降も回復しないまま年末を迎えた。一方で価格は上昇し、1キロ当たり400〜500円も高い1600〜1700円。それでも年間漁獲高は前年比2割減の12億円前後で、漁獲量とともに過去5年で最低になる見通しだ。

ふるさと納税の返礼品なのに…入荷できず

 ナンバンエビ不漁の原因は何なのか―。道立総合研究機構中央水産試験場(後志管内余市町)は、廃業などで操業する船の数が減る中、乱獲による資源量の減少は考えにくいとみる。ただ、ナンバンエビがいる水深300〜400メートル付近で、もっと浅い水深200メートル付近にいるはずのボタンエビが捕れていることなどを念頭に、「海の深い所でも水温に異変が生じている可能性がある」(資源管理グループ田中伸幸主査)と指摘。「分布域の変化も考えられるが、また戻ってくる可能性もあり、様子を見る必要がある」という。

 漁業者の中には「エビを捕食する小型のタラが増えている」「夏でもタラが上がっている」「ヤリイカが豊漁の年はエビが不漁になる」などと、海の変化をめぐり臆測も飛び、懸念が広がっている。

 影響は水産加工業者にも及ぶ。重原商店(羽幌)の重原伸昭社長(49)は「浜値が高く、仕入れの絶対量が少ないのも痛い」と厳しい表情。渋谷水産(同)も「ここまでないのは初めて。価格高騰で利益が出ない」(下山正史社長)。

 スーパーなどでの小売価格は例年の倍以上で、消費者もなかなか手が出せない。エビは羽幌町の「ふるさと納税」で返礼品にもなっており、入荷できず発送が遅れる事態も生じている。6月の「はぼろ甘エビまつり」では予定の半分しか用意できなかった。

 「来年はいつも通りに戻ってきてほしい」。「エビのまち」の関係者は水揚げ回復を願うばかりだ。