貸付残高、4分の1に激減=改正貸金業法成立10年―消費者金融

消費者金融など貸金業者に対する規制を強化する改正貸金業法が成立してから13日で10年。貸出金利の上限引き下げや融資額の規制が実施された結果、無担保の消費者向け貸付残高は2015年度末で4兆4438億円と、06年度末に比べ約4分の1に激減した。中小業者の淘汰(とうた)が進み、大手がメガバンクの傘下に入るなど、業界の様相は一変した。

 かつての貸金業界では高金利、過剰融資、過酷な取り立ての「三悪」が横行。多重債務が社会問題化した。改正貸金業法によって、上限金利は10年6月に年29.2%から20%に引き下げられ、個人の消費者金融などからの借入総額を年収の3分の1以下に抑える規制も導入された。

 経営環境の激変を受け、06年度末に1万1832社を数えた全国の貸金業者は、15年度末で1926社と6分の1以下にまで減少した。大手の一角を占めた武富士は10年に会社更生法の適用を申請。生き残りを懸け、アコムは三菱UFJフィナンシャル・グループの子会社となり、旧プロミスは三井住友フィナンシャルグループの傘下に入り、社名をSMBCコンシューマーファイナンスに改めた。

 一方、顧客が過去に上限金利を超えて支払った利息について、返還を請求する動きは続く。業界全体の利息返還額は15年度も2500億円前後に達したもよう。過去10年間の累計では6兆円を超える。業界の自主規制機関、日本貸金業協会の山下一会長は「返還請求はまだしばらく続く」とみており、貸金業界の冬の時代はなお続く見込みだ。

 一方、規制強化が奏功し、06年度末に171万人にも達した多重債務者は、今年10月末時点で9万人に減った。山下氏は「顧客を無視した利益至上主義が多重債務問題の原因になった」と振り返り、「問題の最終的な解決まではあと一歩だ」と業界の健全化に引き続き取り組む意向を示している。