愛媛・産婦人科医 日本医会が改善指導 3年間で2人死亡

出産直後の女性が死亡するなど複数の重大事案が起きた愛媛県今治市の産婦人科医院を、日本産婦人科医会の幹部らが11日に訪れて調査を実施し、改善を指導した。医会幹部の立ち入り指導は異例といい、石渡勇・医会常務理事は取材に対し「3年間で母親の死亡事案が2件相次いだことは異常。非常に重く受け止めている」と話している。国内で年間約100万件ある分娩(ぶんべん)の前後に女性が死亡する事故は通常40件程度という。

 医会などによると、同産婦人科は50代の男性医師が1人で診療にあたり、年間130〜140件ほどのお産を手掛けている。「重大医療事故が相次いでいる」という情報が寄せられたことを受け、医会は今年9月、カルテなどの調査に着手。その結果、2009年以降の8年間で2件の死亡事案を含む4件の重大事故が起きていたことが確認された。

 12年には当時30代の女性が出産後に出血が止まらず、市内の県立総合病院への搬送中に死亡。15年には当時30代の別の女性が帝王切開手術後に腹腔(ふくくう)内で大量出血し死亡した。この他、09年に当時30代の女性が麻酔を伴う帝王切開手術の後、脳梗塞(こうそく)になり、半身にまひが残った。16年も出産後の大量出血で当時30代の女性が一時重症となった例があったという。いずれも、生まれた子は無事だった。

 男性医師はこれら4件のうち、15年に起こった死亡事案の概要を医会に報告したのみで、3件については医会に伝えていなかった。医会は詳しい報告を待つスタンスを取り、評価委員会を開くなどの対応はしていなかった。

 医会は11日の調査後、「症状が重篤になる前に別の対応ができた可能性があり、結果的に判断が遅かったことになる」と指摘。血圧や脈拍数などを正確に測ることや、緊急時には速やかに県立病院に搬送する体制を整えることなどを改善点として示した。

 その上で、今後の方針として、来年3月末までに分娩から撤退することを前提に、その後は同産婦人科では34週前後までの妊婦の検診のみ受け付け、分娩は県立の総合病院でしてもらう「セミオープンシステム」を提案した。

 石渡常務理事は「地域の医師間のコミュニケーションが取れておらず、人手不足を補って助け合うことができていなかったことが残念」としている。男性医師は取材に対し「指摘された内容を重く受け止め、改善していかないといけない。提案については前向きに検討する」と述べた。