EU、チーズ関税の全廃要求=日欧EPA交渉、農産物でなお溝

日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)締結交渉で、EU側が日本にチーズの全品目の関税撤廃を求めていることが12日、明らかになった。

 チーズを含む乳製品は、日本が関税撤廃の例外扱いを狙う重要農産品の一つ。チーズ関税(現行29.8%など)の全面撤廃となれば、北海道など乳製品の国内産地に大きな影響が出るのは必至だ。農産物の関税などをめぐり日欧の隔たりは依然大きく、合意へは曲折も予想される。

 日本とEUは12日、東京都内で事務レベルのトップによる首席交渉官会合を始めた。交渉は週末にかけて続けられ、関税分野では農産物や加工食品、自動車を含め幅広く議論し、包括的な合意案を作る。交渉の進展次第で年内に閣僚協議を開き、大筋合意を探る。

 チーズはEUが対日輸出で重視する品目の一つ。EUは、日本が環太平洋連携協定(TPP)で関税を維持したカマンベールとモッツァレラ、関税削減にとどめたブルーチーズを含め、チーズ全品目の関税ゼロを強く求めている。

 EUは豚・牛肉でも日本の市場開放を要求し、豚肉は「原則、TPP並み」(関係筋)とする具体的な条件で攻防が続いている。日本は流通量が多く価格の安い豚肉に対する関税を残したい意向だ。EUは牛肉について、欧州産牛肉に対する無関税輸入枠の新設や、子牛肉の関税撤廃を求める。

 加工食品では、日本がTPPで関税引き下げを約束したパスタとチョコレートの関税撤廃をEU側が求め、決着していない。

 一方、日本が重視する欧州の自動車関税(乗用車は現行10%)の撤廃では、実施時期をめぐる対立が続く。日本はEPA発効時の即時撤廃を求めるが、EU側は長期間での段階的な削減・撤廃を主張。EUは自動車関税を「農業分野で日本の譲歩を引き出す取引材料」(交渉筋)としており、着地点を見いだせていない。