王将事件3年 乏しい物証、捜査難航 吸い殻かく乱目的か

中華料理店「餃子の王将」を展開する王将フードサービスの社長だった大東(おおひがし)隆行さん(当時72歳)が京都市山科区の本社ビル前で射殺された事件は未解決のまま、19日で発生から3年を迎えた。京都府警は延べ約10万人の捜査員を投入し、現在も91人態勢で捜査。現場付近で見つかったたばこの吸い殻から福岡県内に拠点を置く暴力団関係者の男のDNA型を検出したが、直接的な関与を示す証拠は乏しく、捜査は難航している。

事件は2013年12月19日午前5時45分ごろに発生。大東さんは自宅から1人で車を運転し、本社駐車場で降りた直後、25口径の拳銃で至近距離から4発の銃弾を受けて死亡した。車内に多額の現金が残されており、府警は何らかの恨みが背景にあるとみている。

 暴力団組員とDNA型が一致する唾液の付着した吸い殻は、犯人が潜んでいたとみられる通路で見つかった。府警は福岡県などに捜査員を派遣するとともに、王将の社員や出入り業者ら延べ約1500人から聞き取りしてトラブルの有無などを調査。今年1月には、創業家と関係が深い企業グループを率いる男性の関係会社を家宅捜索した。

 王将は3月、このグループとの取引で約200億円が流出し、約170億円が未回収になっていたことを公表。グループと創業家との不適切な関係を問題視する社内報告書がまとまった1カ月後に、大東さんが殺害されたことになるが、事件との関係は不明のままだ。

 一方、府警は今春、事件に関わったとみられる福岡ナンバーの白い軽乗用車を押収。ただ事件につながる物証は残されていなかったという。

 ある捜査幹部は「綿密な計画を立てた犯人が、現場に吸い殻を残すような失敗をするとは思えない。実行犯は別にいるのではないか」と指摘。別の捜査関係者は「捜査のかく乱を目的に置かれた可能性もある」と話す。

 栗田忠昭・捜査1課長は「新たな不審人物が浮上しては消える状況が続いている。捜査員が一丸となって犯人を検挙し、被害者の無念をはらしたい」と話している。

 ◇刑事部長ら現場で黙とう

 19日早朝には、山本哲也・刑事部長らが現場を訪れ黙とうした。近くの駅で情報提供を呼び掛けるポケットティッシュを配ってから出勤した王将の渡辺直人社長は「事件解決に向け、会社として出来る限りの協力をする」と話した。

 大東さんの長男剛志さん(42)は府警を通じてコメントを発表した。「父がなぜ殺されなければならなかったのか、ますます困惑は強まるばかりだ。真相をぜひとも教えてほしい。事件を風化させることなく、一日も早い解決を願う」などとしている。

 情報提供は府警山科署捜査本部(0120・08・9110)。