コンビニの「マイクロ店舗」続々、狙いはオフィス等の極小商圏

コンビニエンスストアの次の“大市場”になるか――。現在、コンビニ業界ではマイクロマーケット(極小商圏)と呼ばれる“小さな巨大市場”が脚光を浴びている。全国に5万4000店超と一大店舗網が築かれたコンビニ市場。しかし、もはや1店あたりが対象とする人口、距離(商圏)は狭まるばかり。ならば極小商圏でも成立するコンビニを出店してしまえとオフィス、病院など閉鎖された立地には、自販機コンビニが入り始めている。さらに人手をかけない仕組みができれば、あなたのマンションにも“コンビニ”が来るかも。

● オフィスにファミマ!?  品目多彩なコンビニ自販機

 「最近、うちのオフィスにファミマができたたのよ」。東京・丸の内に勤めるあるOLはこう話す。「オフィスの中にコンビニは珍しくないぜ」と答える同僚のビジネスマン。「違うのよ。ファミマの自販機よ」。

 このところ、オフィスにファミマの自販機が入り込んでいる。

 すでに関東や関西で2000台近くが設置されているため、見かけた読者も少なくないだろう。販売品目はサンドイッチ、おにぎり、カップ麺、スイーツ、飲料、さらにストッキングまである。商品数は50〜60品目、まさにファミマのミニ版だ。

 企業などに自販機を設置している業者と組んで、1日1回を基本に商品の補充をしており、消費期限が過ぎている場合は販売をしないように対応している。

 ポプラも10月からファミマと同じような自動販売機を展開。オフィスはもとより、病院、さらに工場内など、まさに「マイクロマーケット」を狙った販売装置だ。

 コンビニはすでに国内の出店数が5万4000店。セブン-イレブンはここ数年、毎年のように1500〜1800店の出店を続けたが、来年度の出店は立地などを見極めて出店する「慎重な出店」方針に転換しており、来年度は2016年2月期よりも出店を抑えてくる可能性が高い。

 店舗数で2位に浮上したユニー・ファミリーマートホールディングスもサークルKサンクスのファミリーマートへの看板替えが忙しく、出店は未知数だ。

コンビニの出店適格地が少なくなるなかで、今後コンビニ各社は小商圏でも成立する業態の開発が必要だ。ファミマの自販機コンビニは現在、1900台あるが、今後将来的には3000台にまで引き上げる計画となっている。

● 計画されていた ドラッグストアでのコンビニ弁当販売

 すでに駅ナカのコンビニが成功しているように、コンビニはその姿を変えて拡大していく可能性が高まっている。実はかつて、あるコンビニ大手とドラッグストアチェーン大手がコンビニの弁当ケースを導入しようとしたことがあった。

 つまり、ドラッグストア内で「〇〇」というコンビニ名が入った冷蔵ケースを導入、コンビニ側は定期ルートで1日3回、商品の納入を実施するという話だった。

 残念ながら、この話はドラッグストアチェーンがある周辺のコンビニ加盟店オーナーへの配慮から立ち消えになったが、今後、コンビニからスピンアウトした特定のカテゴリーが、特定の企業と結びついたりする可能性も高まっている。

 セブン銀行のATM(現金自動預払機)がその代表例だ。セブン銀行のATMは当初、セブン-イレブンに入り、町中に広がった。もちろんライバル店には置いていないが、現在はオフィスの中や空港や駅、高速道路のサービスエリアや商業施設などに広がっている。

● セブンカフェ等 小型のセブンが増殖中!? 

 コンビニからスピンアウトするカテゴリーも出ている。入れたてコーヒーだ。セブン-イレブンは入れたてコーヒー「セブンカフェ」の専門店を西日本旅客鉄道(JR西日本)の大阪駅に開業した。セブン-イレブンと提携しているJR西日本の子会社が「セブン-イレブンキヨスク大阪駅中央口北店」を出店したもので、入れたてコーヒーマシンの「セブンカフェ」を5台設置して入れたてコーヒーを提供、合わせてドーナツや焼き菓子などをそろえた店舗だ。

 ドーナツについては、専用什器に入れずに個包装にしてパンコーナーに移動したり、専用什器を止めたりしている店舗もあるようだが、セブンカフェは依然好調。年900億円の売上高のヒット商品となっている。

 セブン-イレブンの標準店から、このカテゴリーと関連する商品を取り出して販売を始めたのは、コンビニカテゴリーのまさにマイクロマーケット狙いにほかならない。

セブン-イレブンでは今後、今回の“マイクロ店舗”で1日500杯、1日約5〜6万円の売上高を目指すが、極小のスペースだから不動産コストを織り込んでもそれだけ売れれば採算が合うと判断しているのだろう。

 ということは、大阪駅の駅ナカの一等地ではなくても、500杯くらい売れる場所はたくさんある訳で、まさに小型の“セブン-イレブン”が増殖していく可能性がある。

● コーヒー以外も登場するか コンビニのマイクロ店舗

 コーヒーだけでなく、弁当や総菜、おでんなどコンビニのカテゴリーから特定のカテゴリーを切り出して、マイクロ店舗として販売していく可能性も否定できないのだ。

 ファミマもセブン-イレブンと同じように、入れたてコーヒーのオフィス需要狙いでマイクロマーケットに入り込む。同社は事業所内で菓子やカップ麺などを販売する「オフィスファミマ」を展開しているが、これに連動させる格好で「オフィスファミマカフェ」の販売を12月から販売を始めた。

 オフィス内に無人方式の専用コーヒーマシンを設置し、カプセル型のコーヒー粉を入れて抽出する方式だ。価格は1杯100円。コーヒーマシンの設置代や、専用の棚の設置代は無料だ。

 こうしてオフィスなどの職域に入り込むことができれば、今後は売れる商品を増やせる可能性もある。例えばサービスなど形のない商品を販売することも可能だ。

 セブン-イレブンが店舗からスピンアウトさせた入れたてコーヒーを店舗以外で販売したり、ファミマが自動販売機でオフィスなどと連携したりと、コンビニは着実に今後のさらなる低日販化、小商圏化に備え、布石を打っている。

● マイクロマーケット対応店舗が 次の「流通の主役」になる!? 

 しかし、まだ、これは序章にすぎないだろう。というのも、米アマゾン・ドット・コムが開始したレジの無人化を導入すれば一段と小さな商圏化に対応できるからだ。コンビニの運営コストで大きいのは人件費。アマゾンが実験を開始する決済レスの店舗はレジで決済を行うことが不要の店舗だ。

 つまり、こうした業務がなくなればコンビニの運営費は劇的に下がる。店舗には、商品を補充する要員さえいれば済むことになる。発注は自動発注システムを導入すればいい。

 売り上げが上がらなくても、運営コストを抑えられるから、競合店のない二等地や三等地でも出店が可能。極端なことをいえば、世帯数の少ないマンションの一角でも出店が可能となる。

 そんな場所で採算が合うかどうかは分からない。しかし現在、ネットスーパーやネット通販の商品は多大な物流コストかけて商品を運んでいる。コストがかからない極小店舗であれば、成立は可能かもしれない。コンビニの次はマイクロマーケット対応店舗が「流通の主役」に踊り出ることになるのだろうか――。