東芝損失 銀行側、不信根強く 支援まで曲折も

米原子力事業で数千億円規模の損失が発生する恐れが判明した東芝は28日、三井住友銀行やみずほ銀行など主力取引銀行と金融支援に向けた協議に入った。ただ、銀行側には相次ぐ巨額損失への不信感が根強く、曲折もありそうだ。

東芝は既に不正会計問題などで多額の損失を計上しており、財務の健全性を示す連結株主資本は今年9月末で3632億円に減少した。2017年3月期に1450億円の最終黒字を見込んでいることを考慮しても、5000億円を超すような損失が生じた場合、資本を食いつぶして債務(借金)が資産を上回る債務超過に転落する恐れがある。

 債務超過になれば銀行が融資を続けることが困難になり、経営破綻しかねない。こうした事態を回避するためには、損失を穴埋めする手段が必要だ。

 候補の一つは事業を売却して得た利益を回すことだ。しかし、東芝は今年、白物家電子会社を中国の「美的集団」に約540億円で、医療機器子会社をキヤノンに約6600億円で売却している。ほかに売却を予定する大きな事業は残っていない。半導体事業などは経営再建の柱と位置づけられている。

 新たな株式を発行して、資金を集める増資も考えられる。だが、不正会計問題で東京証券取引所から投資家に注意を促す「特設注意市場銘柄」に指定されており、市場で広く株式を発行して資金を調達するのは困難な状況だ。取引先などに株式を引き受けてもらう第三者割当増資など手段は限られる。

 そこで東芝は28日、綱川智社長らが取引銀行に財務内容などを説明し、支援を求めたとみられる。

 銀行側も東芝の深刻な経営悪化は避けたい意向だ。ただ、取引行の首脳の一人は「急に数千億円規模の損失というのは普通ではない。不明確な部分も多い」と語る。

 また、社長が今月中旬にようやく巨額損失の可能性を把握したことについて、東芝の企業統治体制を疑問視する声も出ている。不正会計問題で信頼が低下した上、原子力事業の先行きも不透明で、取引先や取引行の協力を得るのは容易ではない。

 銀行側の支援としては、融資(貸し出し債権)を株式と交換して、東芝の資本を厚くする「債務の株式化」と呼ばれる手法がある。しかし、銀行が東芝の株式を持つことになれば、株価の値下がりリスクを抱える。取引行首脳は「(損失の)中身がわかっておらず、そこまで考える段階ではない」と強調する。

 銀行団は、東芝側が損失額を精査するのと並行して協議を行うが、資産売却などを求める可能性もあり、支援策がまとまるまでハードルがありそうだ。