海外事業者とのトラブル 「悪徳商法」解約に言葉の壁

CCJによると、昨年以降目立つのは、特定商取引法(特商法)を順守せず、必要な契約書面を交わさなかったり、解約に応じなかったりする海外事業者の“悪徳商法”に関する相談だ。取引の入り口は日本語のインターネットサイトだが、トラブルが発生すると外国語での交渉を求められ、解決が難しくなるケースが多いという。

 「ママ友から『ブログで在宅ビジネスのPRをし、興味を示した人を勧誘できたらマージンが入る』と誘われ、数十万円支払い、ブログの書き方などのノウハウ情報を得たが、勧誘できず元が取れない。本社は米国にあるが解約するにはどうすればいいか」

 昨年、CCJに寄せられた相談の一例だ。特商法で規制している「業務提供誘引販売取引」(内職商法)と「連鎖販売取引」(マルチ商法)に当たるという。特商法では、内職商法とマルチ商法について、消費者が契約前に十分な情報を得られるよう、事業者はビジネスの仕組みを詳しく説明した「法定書面」を契約前と契約時に計2通交わすことが求められている。

 しかし、相談のケースでは、LINE上のデータで「契約書らしきもの」(CCJ)が交わされただけで、正当な手続きが踏まれていなかった。本来はクーリングオフが可能で、CCJを通じて米国の本社に連絡を取ったが、「交わした契約にはトラブルが起きた際の裁判管轄が米国にあると記載している」と反論され、返金には応じてもらえていないという。

 米国企業が運営する会員制ショッピングサイトの代理店勧誘に関する相談も目立つ。「代理店になって下部会員を獲得すれば、さらに還元率が上がる」といった触れ込みで勧誘が行われる「典型的なマルチ商法」(CCJ)だ。

 このケースでも、契約に必要な法定書面が交わされていないことがある上、日本国内に支社がないため、解約に関する相談が数多く寄せられているという。

 消費者庁取引対策課は、「一般論として、日本に法人がない外国企業のビジネスであっても、日本国内での会員勧誘行為には特商法が適用される」と指摘。法定書面が交わされないのは違法行為になるという。CCJ担当者は「クレジットカードで決済した場合、相手企業の違法行為をカード会社に説明できれば引き落としを止められることもある。まずは相談を」と呼びかけている。