ライザップもニトリも参入、なぜいまアパレル業界なの?

家具・インテリア大手のニトリがアパレル業界に参入する意向を示しています。先日、トレーニングジムを運営するRIZAP(ライザップ)グループがジーンズメイトを買収するなど、アパレル業界に新しい動きが見られます。ニトリも、場合によっては衣料品チェーンを丸ごと買収するプランも検討しているそうですが、なぜ今、アパレル業界なのでしょうか。

ニトリはホームファッションでシナジー

ニトリ創業者の似鳥昭雄会長は経済紙とのインタビューで、アパレル分野への進出を検討していることを明らかにしました。家具とアパレルはあまり関係ないように思われますが、ニトリの場合には必ずしもそうとは言い切れません。ニトリは、最初は家具が本業でしたが、その後、チェーンの拡大に伴い、ホームファッションと呼ばれる生活用品や雑貨の比率を高めており、すでに売上高の半分がこうした雑貨類で占められています。

 ニトリの売上高は約4600億円ですが、家具大手の大塚家具の売上高はわずか580億円しかありません。店舗数が圧倒的に多いということもありますが、ニトリの売上高がケタ外れに大きいのはホームファッションを手がけているからです。雑貨類の延長線上として衣類を手がけるということであれば、まったく畑違いの分野ではありませんから、場合によってはシナジー効果を得られる可能性があるわけです。

ネット通販市場の大幅な伸びを予測

これに加えてアパレルは潜在的な成長余地のある数少ない分野であることも大きく関係しているでしょう。アパレル分野のチェーン店は、10代から20代向けに偏っており、中高年以上もカバーする店としては「しまむら」などがありますが、絶対数がそれほど多いわけではありません。しかも、最近はネット通販の普及により、ネットで服を買うことはごく当たり前の習慣となってきました。

 ユニクロを展開するファーストリテイリングやZOZOTOWNを運営するスタートトゥデイは、このところ物流センターに対する投資を強化していますが、それはネット通販市場の大幅な伸びを予測しているからです。ライザップも実は、グループ内にアパレルのネット通販企業を抱えており、ジーンズメイト買収後はネット戦略を強化するかもしれません。

 ネットで洋服を買うという習慣がさらに広まれば、中高年以上の世代に向けた新しいアパレル市場を開拓できる余地もでてきます。一方で、店舗で服を買うという習慣はなくなりませんから、うまく展開すればネットと店舗のビジネスを融合できるわけです。ニトリが狙っているのはこうした新分野である可能性が高いでしょう。