東芝 取引行、4月以降も融資…半導体株、過半売却で

東芝は、資金調達のための半導体事業売却を4月以降に先送りする方針を固めた。これを受け、主力取引行は東芝が債務超過に転落した後も融資を継続する方向で調整に入った。17日にも主力取引行などによる会合を開き、今後の対応を協議する。

主力行は東芝に対し、半導体事業を分社化し、過半数の株式売却による抜本的な財務の立て直しを求めている。これを融資継続の前提とする構えで、銀行による経営管理の度合いが強まりそうだ。

 東芝は14日発表した2016年4〜12月期決算見通しで、米原発事業に伴う損失が7125億円に達し、16年末時点で1912億円の債務超過に陥っていることを表明。協調融資の条件に抵触し、融資を引き揚げられかねないことから15日、取引先銀行団に3月末まで融資を継続するよう要請していた。

 銀行団は、3月末までの融資継続は認める方針だが、4月以降は「白紙」との立場だ。だが、東芝は当初「3月末までに半導体事業を分社化し20%未満の株式を売却して債務超過を回避する」としていた方針を撤回し、4月以降に売却を先送りする方針だ。3月末に債務超過に転落すれば、信用力低下で株式市場での資金調達は困難となるため、銀行融資が無ければ資金繰りが立ちゆかなくなる恐れが生じる。

 債務超過の企業への融資継続に対しては、銀行の株主からの批判も予想される。このため、東芝には半導体事業の株式の過半数売却による抜本的な財務改善を融資継続の前提として求める。原発事業についても、情報開示や新規の建設受注を停止するなどの再発防止策の徹底を要求する。融資継続に消極的な地銀も複数あることから、銀行団の体制を組み替えることも検討する。