ヤマト、来月から環境改善 アマゾンなど大口顧客との交渉鍵 現場には疑問の声も

宅配便最大手のヤマト運輸は17日、今春闘の労使交渉で合意したサービス見直しなどによる労働環境の改善策として、宅配便の時間帯指定サービスの一部廃止などを公表した。4月から順次実施する。ただ、人手不足と荷物量の急増で悪化する労働環境の改善が今回の見直しで進むかは、インターネット通信販売大手のアマゾンをはじめとする大口顧客との交渉結果次第とみられ、現場には効果を疑問視する意見もある。

 「より効率的、より高品質なサービスを提供できる新しい働き方の創造を目指した」。ヤマトが労使交渉妥結後に発表したコメントには疲弊する現場に対する危機感がにじんだ。

 ヤマトが改善策の柱と位置づけたのが、時間帯指定と再配達の見直しだ。6月中に「正午〜午後2時」の時間枠を廃止するほか「午後8〜9時」は「午後7〜9時」に拡大する。電話で午後8時までだった再配達の受け付けは、4月24日から午後7時までとする。同社は「ドライバーの休憩時間が確保でき、夜間の配送時間に余裕が生じる」と強調する。

 だが、見直しが効果を発揮できるかは見通せない。大口顧客の一つ、アマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長は「送料無料は大事なサービス」として手厚い配送サービスを維持する考えだ。見直しがサービス低下とみなされれば、顧客離れにつながる可能性がある。

 また、ドライバーの一人は「もともと『正午〜午後2時』に指定の荷物は少なく、昼は午前に配りきれない分の配送に追われる」と実情を語り、見直しの効果は期待できないという。再配達も、注文はドライバーの携帯電話にかかるため、「ごり押しされれば届けざるを得ない」とため息をつく。調査中の未払い賃金の支払いも、合意項目には盛り込まれなかった。

 石井啓一国土交通相は17日の閣議後会見で「送料無料でも実際は誰かが負担している。サービス高度化にはコストがかかるという意識を持っていただきたい」と指摘。運送業界の労働環境改善には労使間の取り決めだけでなく、荷主や消費者の協力が欠かせないとの認識を示した。