北海道・十勝でポテチ用ジャガイモ争奪戦 「カルビーより高く買います」

原料不足回避へ作付け前から価格競争

 ジャガイモの産地として知られる十勝地方で、4月下旬の作付けを控えて早くも加工用ジャガイモの争奪戦が過熱している。生産農家は作付けと同時に秋の出荷先も決めるためで、昨夏の台風被害による原料不足でポテトチップスの一部生産休止や終了が相次いだ菓子メーカーなどは、2年連続の非常事態を回避しようと原料確保に奔走。他社より高額な買い取り価格を提示するなど競争は激しさを増しており、他の野菜から切り替える農家も出始めた。

「カルビーより確実に高く買い取る。乗り換えても単年で契約を切ったりしない」。3月下旬、ポテトチップス製造国内最大手カルビー(東京)のライバル他社に卸すという仲卸会社の営業マンの誘いに、十勝管内芽室町の農家男性(47)は一部を他社向けに出荷する決断をした。例年12ヘクタールで加工用のジャガイモ「トヨシロ」を生産しており、4ヘクタール分の出荷先を切り替えるという。提示された買い取り価格は、カルビーに昨年出荷した価格の1・3倍。「われわれは経営者。売り時を間違えるわけにはいかない」と打ち明ける。

 農業関係者によると、加工用ジャガイモの一般的な買い取り価格は1キロ当たり30〜45円。ところが、今年は60円に近い価格を提示された例もあるという。
 カルビーは原料の8割を占める北海道産のうち、約半分の12万トンを十勝管内から調達する。収穫時期に台風が重なった昨年の調達量について同社は「例年を若干下回った程度」と説明するが、子会社のカルビーポテト(帯広)は、例年なら買い取らない規格まで基準を緩和し、収量を確保した。

 帯広市の農家(51)も作付けの半分の4ヘクタール分の出荷先を今年から他社に切り替えた。「イモが余る時は買い取りのサイズを厳しくするのに、足りなくなると手のひらを返す」と話し、メーカー側が主導権を握る現状に疑問を投げかける。

 他の野菜と比べても、出荷価格の面で魅力的ではなかった加工用ジャガイモだが、今回の価格高騰を受け、同管内更別村の40代の農家はタマネギ栽培から切り替えるという。加工用ジャガイモは出荷時に選別する手間が省けるため、「少ない手間で収入を得られる作物を農家は求めている。今回は渡りに船」と話した。