福岡空港、運営権の争奪戦激しく 三菱地所やオリックス、住友商事…大手企業も入札検討

2019年4月予定の福岡空港民営化を巡り、三菱地所やオリックス、住友商事など複数の大手企業が、運営企業を選ぶ入札に参加を検討していることが分かった。アジアに近い福岡空港は、滑走路の増設も控えて高い成長が見込まれており、九州電力や西日本鉄道を中心とする「地場連合」を含めて、運営権の争奪戦は激しさを増しそうだ。

 入札を検討する主な大手企業は、地場連合と共同で参加予定の三菱商事のほか、三菱地所▽オリックス▽住友商事▽伊藤忠商事▽東京急行電鉄−など。

 福岡空港の発着回数と旅客数は現在、ともに国内4位で、25年には2本目の滑走路が完成する。訪日客の増加も見込まれる中、各社ともこれまで培った航空関連事業や商業施設の運営ノウハウを生かす考えだ。

三菱地所の吉田淳一社長は11日、都内で開いた記者会見で「チャレンジしていく可能性がある」と意欲を示し、「魅力や集客力を高めるまちづくりの醍醐味(だいごみ)が生かせる」と話した。

 オリックスは、フランスの空港運営会社バンシ・エアポートと連合で関西・大阪両空港を運営しており、神戸空港の運営権も取得する見通し。ただ福岡空港では、バンシとは別の企業と組む方向で検討している。

 住友商事はアジアの空港内で保安システムやモノレールの整備を手掛けた実績もあり、ドイツの空港運営会社と連合を組むことを検討中。昨年7月に民営化した仙台空港を運営する東京急行電鉄や、伊藤忠商事も「関心を持っている」として情報収集している。


地場連合は九電や西鉄に加え、ANAホールディングスや日本航空などが出資する「福岡エアポートホールディングス」が中核となり、三菱商事やシンガポールの空港運営会社チャンギ・エアポート・グループとの連合で入札に臨む。厳しい競争が見込まれるが、地場企業幹部は「入札で提案する事業計画の質を高める作業を淡々と進めたい」と話した。

 国土交通省は5月中に、運営権の最低入札価格を1610億円とするなどの募集要項を公表し、公募を開始。活性化策などを総合評価して、18年5月に運営企業を決める予定だ。

空港民営化

 国や自治体が管理する空港の運営を民間企業に委託すること。福岡空港は2019年4月に民営化予定で、30年間の運営権を入札で落札した事業者が滑走路とターミナルビルを一体経営する。ビル運営の収益で着陸料を値下げするなど柔軟な経営で路線や利用者を拡大して空港を活性化させる狙い。国内では16年に関西・大阪、仙台空港が民営化され、高松や広島、熊本空港などでも計画されている。