光回線の工事が終了しました…悪質代理店による「電話勧誘」の実態

先日掲載の記事「探偵が突き止めた、時折ポストに入れられている「NTT」チラシの正体」では、現役探偵がマンションのポストに入れられる「光回線のチラシ」の正体を暴き大きな話題を呼びました。今回の無料メルマガ『幸せを呼ぶ!クレーム対応術』では、著者でクレーム対応のプロである奥村渉さんが、たまたま受けた悪質極まりない「光回線工事の電話営業」のやり取りを公開するとともに、同営業の大きな問題点をプロの目で分析しています。

光回線の工事が終了しましたので切り替えのご連絡です

つい先日、自宅の固定電話に、20時ころ、0120から始まる番号の着信がありました。家族は携帯電話をもっているので、固定電話にかけてくる相手は限られます。しかも、0120から始まる番号から、固定電話にかかってくる場合、ほぼ営業電話なのは、以前からわかっていました。留守番電話にしてあるので、普段であれば相手が名乗ったタイミングで、心当たりがあるときのみ出ています。しかし、その日は何かと忙しく、ついうっかりそのまま出てしまったのです。

相手は、会社名を名乗り、「お客さまのご自宅付近で、NTTの光回線工事が終了しましたので、サービス切り替えのご連絡です」と切り出してきました。

「営業ですか?」とわたしが聞くと、「いえ、よりお安いサービスに切り替えが可能になったため、そのご連絡です」と答えます。

「いえ、結構です」

「あ、『結構です』というものではなくてですね、安いサービスに切り替えをおこなうためのご確認なんです」

「そのサービスとは何ですか」

「以前●●●が提供していた●●●●と、NTTがおこなっているサービスです」

なんとなく、回線営業の電話だろうとわかってきたので、「今は忙しいので、どうしても必要なら書面で送ってください」電話を切ってほしかったので、そう言うと、「あー、それなんですがー、書面でのお手続きはできないんです」。

!!! なんだって!? 書面でやりとりできないのに、サービスを切り替えるなんて、多少安くなっても、怖くて嫌だよ! その驚きのまま、わたしは聞きました。

「書面でできないサービスに切り替えるんですか?」

「はい、お得になりますので!」

「営業ですよね? でしたら結構なんですが。」

すると、この業者は、「いえ、ですので、お客さまのインターネットのご利用料金が、お安くなるご案内なので、結構ですというものではないんです」と言い放ったのです。なんと、へらへらと、鼻で笑いながら。「いえ」という否定語を使い、「ですので」とわたしの発言を批判し、「結構ですというものではない」などと、ウソをついたのです。

「書面で説明ができないサービスって何なんですか?」

「そのあなたの話が分からないから聞いてるのに何で上からなんですか?」

「あなたの、薄ら笑いがすごく感じが悪いんですけど」

と、立て続けに言ったのですが、慣れているのか、全然へっちゃらです。さらに、最後まで営業だと認めず、不愉快に思っているというわたしに謝罪もせず、ネチネチのらりくらりと言い訳をして、話を続け、いっこうに切る気配がありません。

あまりにしつこいため、「必要ありませんので!!!」と、最終的にガチャ切りしましたが、電話に出たことを後悔しつつも、実に、氣分が悪くなる電話でした。

電話を切った後、少し調べてみると、この業者が「●●光」の代理店であることがわかりました。電話口ではサービス名の「●●光」が一度も出てきませんでしたので、おそらく「営業トークでは名前を出すな」とでも言われているのでしょう。

余計に腹が立ったので、「●●光」に電話し、代理店に不快な思いをさせられたと伝えようとしたのですが、「ただいま込み合っております」から、10分以上経ってもつながりません。

この間に、興奮状態が少しおさまり、わたしの冷静になった頭には、「あー、こういったことも許せという、これはいわば試練なんだな」と、いう考えが浮かびました。そして、夕食前の団欒を邪魔されたこと、時間を無駄にさせられたことを、許そうとしてみたのです。

「●●光」で検索をかけると、代理店のネガティブな情報が、大量に出てきます。この代理店も、2015年ころから、「迷惑電話」をかけているようです。

サポートデスクに、「業者の(やり方の)確認をするよう依頼した」と言った人もいるみたいですが、いまだにこの電話番号から、同じような手法で電話がかかってくるので、改善されていないのでしょう。

そうなると、「●●光」自体が、この営業手法を黙認か、下手したら推奨しているのではないかと、疑ってしまいます。しかも、●●光で検索したことで、パソコンやスマホを使うたびに、「●●光」の広告ばっかり出てきてしまうようになりました。そのおかげで、毎回、あのいやな電話対応を思い出して、とても許せるもんじゃないです(笑)。

ところで、わたしがなぜ、こんな個人的な不愉快をお伝えしているのかと申しますと、別に、「●●光」の晒し上げが目的ではありません。今回、お伝えしたかったことは2つです。
一方的に不愉快にさせた相手は敵になる不愉快になった相手は情報を拡散する
当たり前のことですが、お客さま対応は、「お客さま」がいてはじめて成立します。コミュニケーションである以上、相手にどう受け取ってもらえるかまではコントロールできません。

同じ対応をしていても、こちらの思惑どおり、受け止めてもらえることもあれば、不愉快に思われてしまうこともあります。

はっきりと書かれることは少ないですが、じつは、クレーム対応とは、不愉快にさせた相手を敵に回さないよう、フラットな状態に戻す、そしてできれば、好意的な状態にすることが、目的なんです。

今回の場合ですが、本来、営業電話をかける意味とは、電話をかけた相手に、「興味をもってもらい」「好意的な感情を持って」もらって、最終的に「お金を払ってもらう」ことを目的としているはずです。

しかし、営業電話を掛けられたわたしが、「●●光」に対して抱いているのは、敵意しかありません。なぜなら、こちらから望んで、時間を割いたのではないのに、一方的に不愉快にさせられたからです。

これからわたしは、インターネット回線の新規開設や契約変更を検討している人に、「●●光」はやめた方がいいといいます。このように、たった一人でも、一方的に不愉快にさせてしまうと、悪いクチコミを拡げられるのです。

わたしの大切な読者さまに、意図的に「敵」を作る対応をする人は、いないと思います。しかし、普通のお客さま対応でも、クレームになってしまう場合があります。そしてクレームになった、もっとも多い理由は、「対応者」に原因があります。

伝えた内容に対して、受け止める相手との、感情面での行き違いを少なくするために、「応対マナー」が存在しますが、応対マナーは万能ではありません。マインド(氣持ち)がなかったり、応対内容がひどすぎて、マナー以前の話なら、丁寧な対応が、かえって逆効果だったりします。

自分たちにとっては、そのお客さまが数十人のうちの一人でも、相手にとって自分は、その会社や組織で、唯一のスタッフです。相手を不愉快にさせると、クレームになるどころか、下手したら「敵」にしてしまう、という緊張感は、つねにもっていたほうがいいですね。

ところでわたし、じつは、この不愉快な電話をしてきた、代理店業者について、ここまで、特定できる情報を書いていません。仮に悪徳業者でも企業なので、社員は給料をもらって仕事をし、もちろん、生活もあるでしょう。やっていることは不愉快ですが、違法ではないですし、ここで晒して、もし、この業者が潰れてしまうと、恨まれるだけ損だからです。
一方的に不愉快にさせた相手は敵になる不愉快になった相手は情報を拡散する
こんな当たり前のことがわからず、敵を作る営業でもいいからと、とにかくシェアを増やそうとしてる、「●●光」が諸悪の根源なのは明白です。ただ、どうやら、「●●光」だけでなく、「KDDI」や「NTT」などの大手を名乗った勧誘トラブルも、多くあるみたいです。

少し古いデータで恐縮ですが、2015年1月〜16年1月の1年間で、なんと、9,420件にのぼる苦情が、国民生活センターに入ったんだそうです。

● NTT装う「光回線勧誘」トラブルが急増している 「高額費用請求」「料金前より高く」苦情1万件(J-CASTニュース)

もちろんまともでマジメな代理店もたくさんあるのでしょうが、回線事業者への勧誘トラブルは、もはや当たり前になっているみたいですね。この現状を、回線事業者本体は、いったいどう見てるんでしょうか?

また、予防のため、後学のために、この業者の電話番号と社名を知りたい方、悪徳業者の確認方法を知りたい方は、メールを頂ければお教えいたします。

人のふり見て我がふり直せですね。

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『幸せを呼ぶ!クレーム対応術』

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