チラシは何曜日に配ると効果的? 新聞折込チラシの実践ノウハウ

高齢者に刺さる販促手法

商用インターネットの登場以前から存在し、いまだに集客チャネルとして機能しているのが、新聞とともに各家庭に届けられる新聞折込チラシです。

「チラシは見ない」とは、チラシを見ない人の主張であり、「テレビはオワコン」と同じ主観に過ぎません。

近所の問屋が開催するガレージセールは「チラシ」で集客しており、偶然とおりかかって開催を知ったお客が、「チラシが入っていなかった」とクレームをつけていたのはつい先日のこと。

チラシは高齢者やファミリー層に刺さります。新聞購読世帯は減りましたがゼロではなく、チラシを見た主婦たちが、ママ友にLINEなどで「クチコミ」してくれるからです。

10年を超える連載のなかには未完の記事も多く、チラシについては過去に数回紹介したきりでしたが、今回は実務ノウハウに踏み込んだ「完結編」です。

チラシの基礎知識

チラシを集客に使うとき、まず「配布エリア」を軸として考えます。街角にある新聞販売店は、配送を委託された別会社であって、同じ「朝日新聞」の看板を掲げていても、販売店Aと販売店Bの配布エリアは分かれています。AとBの境界付近に店舗を構えている場合は、双方に依頼することになります。

たとえば、販売店の配布エリアが東京の主要道である「環七」の内と外に広がり、内側だけがターゲットという場合は、「環七の内側に配布」のように「エリア指定」できることもありますが、気休め程度にとらえておくといいでしょう。

都市部ではチラシを入れる新聞の取捨選択も必要となります。とりわけ首都圏では「朝日」「毎日」「読売」「産経」「東京」「日経」の6紙があり、その地域で最多部数を誇る新聞は、エリアあたりの配布可能な人口密度が濃く、地域広告として高い効果を期待できるからです。予算が許すなら複数の新聞を選択し、エリア内での露出を高めるのが定石です。ちなみに我が町足立区では、総じて「読売新聞」が強く、編集部のある千代田区では「日経新聞」の圧勝です。

各販売店が持つ購読者数は「部数」として公表されています。以前の記事では、これの「1割減」での配布を推奨していますが、かつて新聞配達のアルバイトをし、苦学の果てに起業したとある社長は「2割減が妥当」だと豪語しています。

これらを検討して「配布部数」を算出します。部数が増えれば単価が下がる印刷と違い、チラシの費用は「配布枚数×単価」ですから、ここで過不足があれば予算を調整しなければなりません。

印刷データはExcelやWordでもいい

ここからは実務レベルのノウハウを紹介します。

新聞に折り込むための「チラシ」に適した用紙サイズやレイアウトについては、過去に書いているので割愛しますが、配布エリアの選定とあわせて「チラシの印刷」という実務が発生します。

新聞のチラシは最小単位でも数千部が基本のため、民生品のカラープリンターは論外です。確実に集客したいなら、2〜3万部は配布すべきでしょう。いまどきなら「ネット印刷」が安く早くキレイに仕上がります。そしてネット印刷には、ほとんどのフォーマット(データ)やバージョンに対応しているという利点があります。

かつての商業印刷は、PostScriptに準じ、画像はCMYKでなければ受け付けてくれず、高額なDTPソフトの導入も不可欠でした。ワープロソフトのWordなど論外ですが、今はほぼ問題ありません。業者によっては、Excelでも受け付けています。また、「送料込み」の業者が多いのも魅力です(宅配業界の事情から、今後はわかりません)。

迅速な販促のために

ネット印刷業者のなかには、折込も請け負っているところがありますが「丸投げ」的な発注には注意が必要です。楽は楽ですが、印刷データを入稿してから、チラシが配布できる最短の日程として10日ほど必要とする業者もあるからです。即座に変更を反映できるWeb販促との違いで、短期間に価格が変化する商材を扱っていた場合、致命的なタイムラグとなります。

そこで、印刷と折込を切り離して発注することをおすすめします。チラシの配布は折込広告専門の代理店へ発注するのです。こちらなら、およそ配布日の2日前にチラシを納品すればOKです。

ネット印刷の「当日仕上げ」を利用して、その日の営業時間内にチラシが代理店へ到着すれば、その2日後、つまり水曜日に仕入れた商品を、金曜日配布のチラシに掲載できるということです。実際にはチラシのデザインワークもあるので、もう1日〜2日は余裕を持ってスケジュールを組むといいでしょう。もちろん、販売店の配布枠を事前に押さえもらう必要もあります。

何曜日が正解か

また、折込専門の代理店では、いくばくかの値引きが期待できます。一般人が直接販売店に持ち込んでも「定価」のままです。

最も効果の高いチラシ配布日(曜日)については諸説ありますが、おすすめするのが「横並び」です。他者を出し抜こうと、競合の少ない曜日を選ぶ気持はわかりますが、その地域の同業他社がチラシ配布している曜日はハズレが少ないのです。

週末の土曜日に不動産や家電量販店、ショッピングモールなどのチラシが多いのは、家族揃っての来店を期待しているからです。専業主婦の来店を想定する食品スーパーであれば平日に配布します。先行するライバルの経験則を利用するのです。チラシを情報源にする人たちはお得な情報を探しているため、配布日の重なりを気にするより、まず他社の経験に相乗りするのがおすすめです。

チラシの欠点

地域の動向にも注意が必要です。あるゲームショップは、毎月25日前後の週末にチラシを配布していたのですが、ある回はサッパリ客足が伸びませんでした。子供や家族連れが少なく、調べてみると店舗周辺の小中学校が運動会を開いており、どうやらこれが理由だったようです。

地域の集客効果において、いまだにプレゼンスを発揮するチラシですが、致命的な欠陥があります。繰り返せば効果が薄れるということです。そこをWebで補います。メルマガやLINE、FacebookやTwitterに「取り込む」のです。チラシで集めて、Webで育てるが理想です。ちなみに、同じ紙媒体ではDM(ダイレクトメール)の効果も健在ですが、「個人情報」の壁から活用が難しくなっています。

今回のポイント

地域による新聞選択と配布

折込チラシの専門代理店を利活用